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「他人に好かれるたいなら口数を減らすべきだ!」ってのは正しいの?


好かれたきゃ相手の話を聞け!」ってのは当たり前の話。こっちのことばっかしゃべって向こうの話を聞けなかったら、嫌われちゃうのが当然なわけです。

 

 

が、最近の研究(R)では、「会話ではより多く話す人の方が、他人からの好感度が高い!」って結論が出てておもしろかったです。従来の見解では、「会話の総量のうち、こちらは半分以下の時間しか話さない方が好感度が上がる」って考え方もあったんですが、それは間違いだったというんですな。

 

 

これはバージニア大学などの研究で、3つの実験を通して「会話量と好感度の関係」をチェックしてます。だいたいの内容をまとめておくと、

 

  1. 参加者たちに、「初対面の人に会ったときに、こちらはどれくらい話すべきか?」を尋ねる

  2. 参加者たちに見知らぬ人と会話をしてもらい、それぞれ30%、40%、50%、60%、70%のいずれかの時間で自分から話すようにランダムに割り当てる。そのうえで、会話の相手に好感度を尋ねる

 

みたいになってます。「会話の70%をこちらが話す」というと、嫌われて当然のような気もしちゃいますけど、果たして実際にはどんなものなのか、と。

 

それで、どんなことがわかったかと言うと、こんな感じです。

 

  • みんな「好感度を上げるためには会話の量を全体半分以下にすべきだ」と答えた

 

  • 好感を持たれたい!と思っている人ほど、話す量が少ない傾向があった

 

  • 面白いと思われたい!と思っている人ほど、話す量が多い傾向があった

 

  • しかし、実際には、話せば話すほど好感度が上がるという結果が出た

 

だったそうです。「好かれたきゃ相手にガンガン話させよう!」ってのが従来の考え方でしたが、実はこれは好感度とは関係がないかもしれないわけですね。

 

 

研究チームいわく、

 

(しゃべる量の多さは)ほとんどの人にとって、第一印象を形成する主要な要素ではない。

 

とのこと。つまり、印象を上げようとして話す量をコントロールしても無意味かもしれないんだ、と。言われてみりゃ、同じように口数が少ない人としゃべってても「こっちばっか話をさせられてるな……」と思うケースがあれば、「この人はこっちの話を楽しんでくれてるな!」と思うケースもありますからねぇ。単に発話の量だけで印象は決まらないってのは、そうなんでしょうな。

 

 

さらに研究チームいわく、

 

私たちは、他人は自分のことを話すのが好きだと思い、他人は自分から話しかけられたくないと思っている。しかし、それは私たちの社会的な世界全体について持っている一種の誤解である。

 

ってことで、みんな必要以上に「他人は自分のことを話したがってる」と思い込んでいるんじゃない? それって好感度の足を引っ張ってるかもよ? ってことですね。著者チームは、この現象を「寡黙ギャップ」と名づけております。

 

 

こういった主観と客観のギャップは、コミュニケーションの場面ではよくあることで、「「初対面の人の会話がうまくいかなくて……」を克服するための心理学」でも「みんな自分のコミュニケーション・スキルの自己採点がムダに低くなりがち」みたいなギャップが指摘されてましたね。

 

 

ただ、これはあくまで「会話の比率」は好感度を左右しないかもって話でして、「話せば話すほど相手から好かれる!」ってわけじゃないのでご注意ください。事実、研究チームも、以下のように戒めております。

 

 

私たちは、こちらが100%話すことが最良の戦略だと言っているのではない。ただし、自信のなさから人々を引き離そうとしているだけだ。

 

 

っとことでして、まぁ会話をする際は、発話の時間にこだわるよりも「内容」にこだわったほうがよさそうであります。具体的には、

 

 

あたりをチェックしつつ、「ヤバい話し方をしていないか?」や「ちゃんと弱みを出せてるか?」ってあたりを気にするほうがよさそうっすね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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