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今週半ばの小ネタ:クルクミンで免疫系のトラブルが改善? スパイスで腸内細菌が元気!人工甘味料で腸内細菌にダメージが?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 
クルクミンで免疫系のトラブルが改善するかも?

ニコ生のブロマガでも何度か書いているとおり、体内の炎症を抑える作用が大きい成分といえばクルクミン。ウコンに入っている成分のひとつで、抗酸化パワーが高いおかげで免疫を調節してくれる力もあると言われ、自己免疫疾患を持つ人にもメリットがあるんじゃないかなーと昔から考えられてきたんですよ。

 

 

そこで、新しく出たメタ分析(R)では、クルクミンのサプリによって、乾癬、潰瘍性大腸炎、関節リウマチなどにメリットがあるのかどうかをチェックしてくれていて有用でした。

 

 

このメタ分析は、クルクミンに関する18件のRCTをまとめたもので、乾癬や潰瘍性大腸炎といった難しい症状を改善するために、クルクミンのサプリは役に立つのかをチェックしてくれております。

 

 

大半のテストではクルクミンが採用されていたものの、ほかにもナノクルクミン、クルクミノイド、ターメリック、脂質と組み合わせたクルクミンなどを使用。クルクミンの使い方は、サプリとして飲んだり、クルクミンのペーストを肌に塗ったりとかいろいろで、クルクミンの1日の補充量は100~3,000ミリグラムで。実験の期間は4週間から24週間の範囲に広がっております。

 

 

で、結果はこんな感じでーす。

 

  • 乾癬:クルクミンは、乾癬の重症度を減少させた。目立った副作用は認められなかった。

 

  • 潰瘍性大腸炎:クルクミンは、潰瘍性大腸炎の重症度を低下させたと同時に、炎症のバイオマーカーである赤血球沈降速度(ESR)およびCRPのレベルも低下させた。やはり目立った副作用は認められなかった。

 

  • 関節リウマチ:クルクミンは関節リウマチの重症度やESRおよびCRPのレベルを低下させた。こちらも、目立った副作用は認められなかった。

 

ってことで、これを見る限り、「やっぱクルクミンって優秀だよなー」という印象をあらたにしたわけです。ただし、ここで分析された18の試験のうち、8つはバイアスのリスクが高く、3つは方法論的な問題がありまして、「自己免疫疾患にクルクミンを使おうぜ!」とはまだ言いづらい段階なので、そこはご注意ください。

 

 

 

ハーブやスパイスで腸内細菌が元気に?

不老長寿メソッド」では、「ポリフェノールは腸内細菌にいいよー」なんて話を書いております。ポリフェノールというと抗酸化物質のイメージが強いですが、実は腸内細菌の良いエサにもなってくれるんですよ。

 

 

ということで、近ごろ腸内細菌ブースターとして注目されているのがハーブやスパイス類です。ご存じのように、ハーブとスパイスはポリフェノールがギッシリと詰まっているので、腸内環境の改善にも良いと考えられるんですよ。

 

 

では、具体的にハーブやスパイスが腸内細菌にどのような影響を与えるかということで、テキサス・テック大学などの先生が調査(R)をしてくれておりました。

 

 

これは心臓や血管の健康に問題がある男女54名(BMI25~35ぐらい)を対象にしたテストで、1日あたり0.5、3.3、6.6グラムのスパイスを、それぞれ4週間ずつ摂取したそうな。ここで使われたスパイスの構成は、以下のようになります(スパイスの量が多い順に記載)。

 

  • シナモン
  • コリアンダー
  • ジンジャー
  • クミン
  • パセリ
  • ブラックペッパー
  • ガーリック
  • ターメリック
  • オニオンパウダー
  • パプリカ
  • チリパウダー
  • ローズマリー
  • コリアンダー
  • オレガノ
  • バジル
  • レッドペッパー
  • タイム
  • ベイリーフ
  • カルダモン
  • セサミシード
  • セージ
  • ポピーシード
  • ディルウィード
  • オールスパイス

 

でもって、実験の開始時と終了時に参加者の糞便から腸内細菌を分析したところ、結果は以下のようになりました。

 

  • 1日あたり3.3グラムのスパイスを摂取した後は、0.5グラムよりも腸内細菌の多様性が増えた

 

  • 6.6グラムのスパイスを摂取した後は、その他のスパイス量と比ねて、ルミノコッカスの濃縮がより多く観察された。0.5グラムではプレボテラ コプリとペプトストレプトコッカスが、高スパイス食ではコリバクテリアがより多く観察された。

 

ってことでして、やはりスパイスやハーブは腸内環境にもよさそうだ!と思うわけです。シナモンの使用量をもうちょい増やすかな……。

 

 

 

人工甘味料で腸内細菌にダメージが?

人工甘味料は良いか悪いか?」って議論はまだ続いてまして、このブログでも、

 

 

といった話を書いてきたわけです。まー、私としては「別に大きな問題はないだろうから、低カロリーの甘味が欲しいなら使えばいいのでは?」ぐらいに思ってまして、そこまで問題視はしていなかったりします。

 

 

ただし、個人的に唯一の懸念点として存在するのが、「人工甘味料って腸内環境を荒らすのでは?」みたいな問題です。人工甘味料が腸内にダメージを与えて、腸内フローラを乱す可能性は依然としてあるんですよ。

 

 

ということで、新たな調査(R)では、人工甘味料と腸内細菌の関係を調べてくれていて参考になりました。これは糖尿病のない男女131名を対象にしたテストで、みんなの腸内フローラを調べたうえで、以下の人工甘味料を朝・昼・晩に2回ずつ摂取させております。

 

  • アスパルテーム
  • サッカリン
  • スクラロース
  • ステビア

 

でもって、1週間後に、みんなの代謝や微生物に関する追加のパラメーターを評価したところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • サッカリンとスクラロースを飲んだ参加者は、耐糖能(血糖値を正常レベルまで下げる能力)が低下していた
  • ブドウ糖だけを飲んだグループと、他の人工甘味料を摂取したグループには、耐糖能の変化は見られなかった

 

ということで、まず血糖値については、サッカリンとスクラロースは問題があり、アスパルテームとステビアは無問題かもしれないんだ、と。

 

 

では、腸内細菌のほうはどうだったかというと、以下のようになりました。

 

 

  • 4種類の甘味料すべてが腸内細菌を変化させていた
  • が、サッカリンとスクラロースを飲んだグループが、最も腸内細菌の数や種類が変化していた

 

要するに、サッカリンとスクラロースは腸内環境を大きく変える可能性があり、それによって血糖値のコントロール能力に問題を起こすかもしれないわけですね。

 

 

まー、この研究には難点もありまして、参加者の食事には研究者の監督がなったし、盲検化もされていなかったし、参加者が特殊な食習慣を持った人たちだった可能性もあるしで、決して「人工甘味料はヤバい!すぐやめろ!」って話ではないのでご注意を。人工甘味料が不活性でないことを示したのは間違いないですが、それはほぼすべての食品に言えることですからねぇ。

 

 

というわけで、私としては、今後もステビアなどは普通に使っていくつもりではありますが、「腸内環境に自信がない……」みたいな方は控えたほうがいいかもですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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