今週末の小ネタ:新タイプのクレアチン意味ある?アシュワガンダで不安改善?低GL食でニキビ改善? CBDは不安を軽減できる?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
新タイプのクレアチンは買う価値があるのか?
クレアチンといえば、ニコ生のブロマガで定期的に推しているサプリ。とにかく筋トレとボディメイクへの効果が大きいため、数少ない推しサプリのひとつに選んでいるわけです、
が、近ごろ悩ましいのが、「クレアチンの新しいバージョンがいろいろ出てるけど、これって意味あるの?」という問題です。現時点で一番よく使われているのはクレアチン・モノハイドレートですが、最近では、クエン酸系やらリンゴ酸やらマグネシウムキレートなんて新種がぞろぞろ出てまして、それぞれが「さらに溶けやすい!」とか「体内の吸収率が高い!」などと主張し合っているわけです。
しかし、いまのところ、これらの主張を確かめたヒト試験はほとんどなく、実際に使うべきなのかは謎だったんですよね。そこで新しく出た研究(R)では、クレアチンの新バージョンには、使うだけの意味があるかどうかを調べてくれていて非常によかったです。
これは17の臨床試験をまとめたメタ分析で、ボディメイクと運動パフォーマンスへの効果という観点から、7種類のクレアチンを比べてくれたんですよ。メタ分析としては規模が小さめですが、わりと信頼性が高い内容になっているんじゃないでしょうか。
データの内容をざっくりメモしておくと、
- 健康な男女(20~75歳)548人が対象
- 比較したクレアチンは、クエン酸塩(9試験)、リンゴ酸塩(2試験)、エチルエステル(1試験)、硝酸塩(1試験)、ピルビン酸(2試験)、マグネシウムキレートクレアチン(2試験)など
- 1日の摂取量は1.5~20g
みたいになります。そのうえで、体重、体脂肪率、筋力、有酸素運動の能力などを比べたところ、結果は以下のようになりました。
- 新しいクレアチンのメリットを裏づける証拠はない
- 1回分(5g)あたりのコストを比較すると、クレアチン・モノハイドレートが最も低コスト(0.29ドル)であったのに対し、マグネシウムキレートクレアチン(1.50ドル)などの代替クレアチン製剤ははるかに高価だった
ということで、いまんとこモノハイドレートが最も研究例が多いし、安価だし、効果も確かめられてるんだから、他のバージョンを使う意味はないってことですね。まー、モノハイドレートと他のバージョンを直に比べた研究がないので、必ずしも他のバージョンが悪いってわけじゃないものの、モノハイドレートの低コストとデータの豊富さを考えると、他を買う意味はないでしょうねぇ……。
アシュワガンダで不安やストレスはどれだけ減るか?
こないだもアシュワガンダの話をしたばかりですが、またもアシュワガンダに関する良いメタ分析(R)が出ていたので、内容を簡単に押さえておきましょう。
このメタ分析は、アシュワガンダの効果を調べた12のRCTをチェックしたもの。そのうち8件は、心理的なトラブルや慢性的なストレスを持つ男女を対象としており、4件は健康的な男女を対象にしてまして、すべてが「アシュワガンダは不安とストレスにどれぐらい効くのか?」を調べております。
実験期間は6~12週間で、合計1,002人の男女(25~48歳)が対象。アシュワガンダの使用量は1日あたり250~12,000mg/日だったとのこと(大半は500または600mg)で、すべてをまとめてアシュワガンダの実力をチェックしたら、結果は以下のようになりました。
- アシュワガンダは、プラセボと比べて不安およびストレスを実質的に減少させていた。
- アシュワガンダの効果が最も大きいのは、40歳以上の男女が1日600mg以上を摂取した場合だった(不安の減少レベルが最大になった)
ってことで、これまでもさんざん取り上げてきましたが、やはりアシュワガンダは不安とストレスの対策に役立つと考えて良いのではないでしょうか。もちろん、この研究は、参加者の条件などがバラバラなんですが、個人的には十分に使っても良いかなーと思えるレベルですね。
低GL食でニキビは改善するのか?
従来のにきび治療の定番といえば抗生物質とレチノイドですが、食事も大きな原因のひとつ。にきびの治療に食事の改善が役立つってデータも増えてきた昨今です。
ということで、近ごろチェックした研究(R)は、「低GL食でニキビは改善するか?」ってポイントを調べてくれてました。GLというのは「一般的な食事でどれぐらい血糖値が上がるか?」を表した数値で、当然ながら、GLの数値が高い食材を食べるほど血糖値は急上昇するわけです。GI値を実用的に改善した数値と考えていただければよいかと存じます。
この実験は、中等度のニキビに悩む男性45人(18~25歳)が対象で、12週間のRCTを実施。参加者の半分に、低GL食を食べてもらいつつ、抗生物質とアダパレン(レチノイド含有スキンローション)の治療も続けてもらったらしい。
そのうえで、皮膚科医にニキビの重症度を評価してもらったら、
- 12週間の治療後、低G食を組み合わせたニキビ治療は、対照食を組み合わせたニキビ治療よりも膿がたまった水ぶくれの数が減った(9個減少 vs. 1個減少)。しかし、ブツブツと皮脂の毛穴づまりの数には変化がみられなかった。
- 全体的に見れば、ニキビ治療と低GL食の併用は、ニキビの重症度を減少させた(-2.1 vs -1.0)
という結果だったそうな。血糖値の上がりにくい食事でニキビが改善するって話は昔からありましたが、その妥当性があらためて確認された感じですね。低GL食については「低GL リスト」で検索すれば大量に出てきますので、そちらをご参照ください。
CBDは不安を軽減できるのか?
最後にCBDの研究(R)も触れておきましょう。念のためおさらいしておくと、CBDってのは大麻草などに含まれる成分で、ハイにはならずにリラックス効果を得られるとされております。近ごろはアマゾンでも取り扱いが増えまして、すでにいろいろ試している方も多いでしょう。
では、CBDにはいかほどのメリットがあるのか?ってことで、最近の調査では12週間の実験を行ってくれてます。これは不安に悩む31人の男女に高純度CBDを毎日飲んでもらったもので、みんなに1日200ミリグラムからスタートして、不安や抑うつの症状に改善が見られない場合は、1週目に1日400mg、4週目に1日600mg、8週目に1日800mgまで増量したそうな。
さらには、みんなにはCBDに加えて、隔週で認知行動療法や抗うつ薬の治療も継続したとのこと。その後で、CBDの効果をチェックしたところ、
- CBDの治療を終えてから12週間後、不安の重症度は43%減少した。さらに、18名の参加者が33%以上、12名の参加者が50%以上の不安症状の軽減を経験した。一般的な不安のテストで測定した不安評価スコアも50%減少した。
- さらには、12週間のCBD治療で、抑うつ症状の重症度が30%低下した。「重症」と判定された被験者の数は、17名から5名に減少した。
って感じだったそうな。まー、不安と抑うつの改善については、26週間の追跡では効果が持続しなかったらしいんですが、12週間時点でも成果としては悪くないのではないかと。
基本的に、今回のはデータとしての質はそこまで高いわけではないんで、まだ積極的に「CBDは良いぞ!」と言えないとこですけど、やっぱ注目はしときたいですねー。