「良い人」は人生を有利に生きていけるのか?それとも不利な人生なのか?
「良い人は人生が有利か不利か?」というテーマは、昔からよく調査されてきたテーマです。
ここでいう「良い人」ってのは、このブログではおなじみであるビッグファイブにおける性格特性のひとつで、「他人に優しくするのが好きで、他者とうまくやれる」みたいなキャラを意味しております。
というと、「良い人」は人生もうまくやっていけそうな気がするわけですが、あまりに協調性が強すぎる場合は、
といった問題が出る可能性があったりします。難しいもんですねぇ。
では、実際のところ「良い人にはどんなメリットがあるのか?」ということで、その点を新たに深堀りする調査(R)が行われておりました。
これはアーカンソー大学などの研究で、研究チームは、まず協調性を以下のように定義しておられます。
協調性とは、主に他者を助け、ポジティブな関係を築くことに関わる性格特性。
かなり明確な定義ですが、果たして、このような性格特性は、個人の人生に良いのか悪いのかというのが、この調査の大テーマになります。
そこで、このポイントを調べるにあたり、研究チームは、既存のメタ分析142件をまとめまくり、最終的には約3,900件の研究から190万人以上のデータをもとに、精度が高い結論を出してくれております。その結果、「良い人」たちには、以下のような特徴があることがわかったそうな。
- 275の変数に対する効果を調べたところ、協調性は、93%の変数と結果に望ましい影響を与えることがわかった
ということで、どうやら「良い人」ってのは、人生のいろんな面で良い影響が得られるらしい。93%ってのはなかなかの広範囲ですな。
具体的に、「良い人」にはどんなメリットがあるのかと言いますと、こんな感じです。
- 人に対する態度がよく、陰口もたたかない傾向があるため、いろんな人から好かれる
- 全体的に、勉強でも仕事でもパフォーマンスが高いことが多い
- 心理的・身体的健康のレベルも高いことが多い
ということで、全体的には「良い人」には人生のメリットが多いらしい。
ちなみに、ここでは「良い人」のデメリットも挙げられてまして、
- 「良い人」は自己主張をなかなかしないため、周囲がうまく能力を判断しづらい。
- スポットライトを浴びることにこだわらないため、昇進や昇格の順番が最後になる可能性も大きい。
- 支配的な性格ではないため、ぱっと見は他人に依存しているように見える。
などの特性がピックアップされておりました。ここらへんは確かに「良い人」の問題なんだけど、研究チームによると、これらのデメリットはメリットに比べれば小さいものらしいんで、やはり「良い人」でいるに越したことはないっぽいですね。
でもって、これらの知見を総合して、研究チームは、このような「良い人」たちが持つ資質を8つほどピックアップしてくれております。
- 自己超越:人として成長したいという願望、他人を気づかうモチベーション、精神的な改善への志向が大きい。
- 満足感:自分の人生をありのままに受け入れ、人生で起きるどんなトラブルにも順応できる能力が高い。
- 関係投資:他者との良好な関係を築き、維持しようとするモチベーションが高い。
- チームワーク:自分の役割に関係なく、グループの目標を達成するために、他者と目標を調整する共感的な能力が高い。
- 労働投資:がんばって物事を成し遂げようとする意欲が大きい。
- 成果重視度が低い:個人的な結果を出すことに重きを置かず、他人のパフォーマンスをより寛大に評価する傾向がある。
- 社会規範志向:社会の規範を守り、ルール違反を避け、社会的な期待に沿うように行動する意欲が大きい。
- 社会的統合:社会的役割や制度にうまく溶け込むことができ、非行や反社会的行動、離職の可能性が低い。
これら8つの特性リストは、いずれも「良い人」に特有のものなので、まずはこのリストを眺めつつ、「どの特性が自分に一番向いているか?」を自問してみるのがおすすめです。「自分はチームワークが向いてるな……」とか「あまり自分の欲求にこだわらないな……」とか「人生にたいてい満足しているな……」みたいに考えつつ、どの資質を伸ばせばいいかを決めていくと良いのではないでしょうか。
こんな感じで、8つの特性をロードマップに使ってみると、自分の性格の荒さを改善しやすくなり、ひいては人生をうまく過ごしやすくなるんじゃないかと。まー、いずれにせよ、「良い人」を目指したほうがいいんじゃないかってことで。