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【質問】セレブやアスリートが愛用する「クライオセラピー」「カッピング」って意味あるの?


 

こんなご質問をいただきました。

 

オリンピックの選手とか有名なアスリートの人が、クライオセラピーとかカッピングとかを、良い回復方法としておすすめしているのをよく見かけます。自分がよく行くジムにも、カップの跡だらけになってる人をよく見かけます。

 

オリンピックの選手や有名なアスリートなら、それなりに正しい知識を使っていると思うのですが、このような方法は運動の回復には役立つんでしょうか。

 

ということで、確かにクライオセラピーやカッピングは、どちらも有名なアスリートが使ってたりしますね(ロナウドとか)。これだけ一流の選手が推奨していたら、「さすがに意味があるんじゃないか」と思ってしまうのも無理からぬところでしょう。

 

いちおう簡単に説明しておくと、

 

  • クライオセラピー-110℃~-170℃ぐらいに冷やされた特別な部屋に入る。そこに1、2分とどまる方法。運動の回復にめっちゃ役立つとか、筋肉痛や炎症を大幅に軽減するとか、筋肉から余分な物質を洗い流して美容に効くとか、いろんなことが言われております。日本でも、セレブのあいだで人気ですね。

 

  • カッピング筋肉痛の部位に小さな吸引カップを装着し、その部位に血液を集め、組織から毒素を排出し、身体の治癒と回復を促進する……と考えられている療法。負傷後の回復に役立つとか、痛みがガッツリ減るとか、身体機能の改善によいとか、いろんなことが言われている。

 

みたいになります。どちらとも地味に有名なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。では、これらの療法に意味があるのか、簡単に見てみましょうー。

 

 

 

クライオセラピーに意味はあるのか? 

で、まずはクライオセラピーから見ていきますが、結論から言えば「いまんとこやる意味はないのでは?」 みたいなお答えになります。現時点でクライオセラピーに関する研究は少ないんですが、いくつか目立ったものをピックアップすると、

  

  • ドイツ体育大学ケルンなどによる2019年の研究では、「クライオセラピー」と「静かに座っているだけ」という2つの状態を調べたとところ、激しい運動の後の炎症や筋肉損傷のマーカーは、別にどちらも同じぐらいだった(R)  。

  

  • 上述よりも前に行われた研究をまとめてチェックした2015年のコクラン・レビュー(R)によると、クライオセラピーがスポーツの回復に意味があるかどうかについては、「不十分な証拠」しかないとの結論。完全に否定されたわけじゃないものの、クライオセラピーに高い金を払うべきかどうかは難しいところ。

 

  • ちなみに、美容や健康面については、クライオセラピーに関するちゃんとしたデータはほとんどないのでなんとも言えない。ただ、運動後の炎症マーカーにも大した影響がないと考えると、おそらく望み薄ではないかという気がする。

 

  • さらにちなみに、クライオセラピーよりも温度が高い「冷水を浴びる」というやり方についても、運動後の回復をスピードアップさせる効果があるかどうかはわかっていない。とりあえず、30人の男性を対象にした試験(R)では、ハードな運動の後に「氷水」か「ぬるま湯(プラセボ)」に浸からせて効果を比べたところ、その後の腫れ、炎症、疲労のレベルはまったく変わらなかった。

 

  • さらに言えば、体を頻繁に冷却すると、筋肉が増強されにくくなる可能性も示唆されている。 まだ小規模な研究しかないものの、ウェイト・トレーナーを対象にした試験(R)では、氷浴をしたリフターほど「筋肉量の増加が小さい」ことが示されている。その点では、低温に身をさらす行為は、運動のあとで筋肉が再生されるプロセスを阻害するのかもしれない。

 

って感じになります。 ご覧のとおり、クライオセラピーを指示するようなデータはないのが現状でして、私だったら金を払おうとは思わんですね(港区界隈にたくさん店舗がありますが)。

 

 

 

カッピングに意味はあるのか? 

続いて、カッピングについてです。こちらはアスリートが愛用しているイメージがありますけど、結論から言えば、「プラセボ以上の意味はないでしょう」ってのがお答えになるんじゃないでしょうか。

 

まぁ現時点でカッピングについて調べた調査ってほぼないんですけど、

 

  • 腰痛の患者を対象とした2021年の研究(R)では、カッピング療法の効果は、プラセボ(カップを置くだけで吸引はしない)よりも、痛みが軽くなるわけじゃないし、その後で身体がガッツリ改善することもなかった。

 

  • 2011年に行われた系統的レビュー(R)でも、「カッピングの有効性は、ほとんどの症状に対して立証されていない」との結論で、「(効果がある)と結論した試験も大半は質が低いものばっかりだった」との結論。

 

  • というわけで、アメリカ癌協会(R)なども、「いまの科学的な証拠は、カッピングに健康上の利点があるという主張を支持しない」とし、また「この治療には火傷のリスクがわずかにある」と指摘している。

 

って現状ですんで、個人的には「クライオセラピーよりも根拠がないよなー」ぐらいの判断をしております。おすすめはできないですよねー。

 

 

 

そんなわけで、クライオセラピーもカッピングも、自分だったら近寄らないですね。なんでこういうのに一流のアスリートがひっかかるのかと思うかもしれませんが、彼らはそこらへんのプロじゃないし、名が挙がると良からぬ輩がたくさん寄ってくるので、そこは仕方ないところかもしれません。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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