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「結婚は良いぞ!とにかく良いぞ!」という本を読んだ話

 


結婚する(Get Married)」って本を読みました。著者のラッド・ウィルコックス先生は、ヴァージニア大学で社会学を教えている人だそうで、家族の問題をずっと調べている人なんだそうな。

 

 

で、本書は、「結婚は良いぞ!」ってのをテーマにした一冊で、いろんなデータをもとに結婚のすばらしさを勧めてくる内容になってます。

 

ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。

 

 

  • 現代の文化は、「結婚から解放されれば幸せになれる!」という考え方を指示する方向に進んでいる。たとえば、ある金融機関は「独身で子供を持たない女性はより豊かだ!」との広告を打ち、別の大手メディアは「結婚に反対しようぜ!」と煽ったこともある。これは「ミダス・マインドセット」と呼ばれ、主に左派から指示される。

    これは右派も同じで、「結婚は男の幸福を下げる!」と主張することが多い。ある評論家は「欧米では男性にとって結婚のメリットがない」と主張し、「私たちが離婚するのはごく普通のことだ」と指摘している。このような結婚を否定するメッセージは、過去50年間で結婚率が60%も低下した原因のひとつになっている。

 

 

  • しかし、このようなメッセージは、シンプルに間違っている。アメリカの統計を見れば、良い結婚ほど幸福を予測するものはないことがわかる。データによれば、良い結婚生活を送っている男女は、未婚のアメリカ人や不幸な結婚生活を送っているアメリカ人に比べて、自分の人生に非常に満足している可能性が545%も高い。つまり、現実の世界では、私たちの人生に意味や目的、幸福を与えるということに関しては、結婚は非常に重要だと言える。

    結婚が重要なのは、私たちが社会的動物だからである。私たちは「つながり」を求めるように進化しており、だからこそ家族や友人といった他者との結びつきは、 金銭や学歴などよりも重要である。

 

 

  • 結婚は幸福だけに関わるのではなく、お金や人生の意味、孤独などの問題を解決する働きもある。たとえば、結婚して結婚生活を続けている男女は、収入も貯蓄も多いことがわかっている。そのため、結婚している男女は、50代で独身のままでいる同世代の男女の約10倍の資産を持っている。また、生涯を通じて貧困に陥る可能性も著しく低い。

    さらに、既婚で子供がいる男女は、独身で子供がいない同世代の男女に比べて、より人生の意義を感じ、孤独感もかなり少ないと報告している。例えば、結婚している男女は、自分の人生が有意義であると報告する確率が50%以上高い。

 

 

  • 現代では、結婚したカップルの2組に1組が離婚すると言われる。しかし、この統計は真実ではなく、実は1980年以降、離婚率は40%低下しており、今日ではほとんどの結婚が長続きしている。また、近年の調査では、夫と妻の62%が結婚生活に「とても満足している」と答え、さらに34%が結婚生活に「かなり満足している」と答えている。平均すると、ほとんどの場合、アメリカにおける結婚生活は幸福な者なのだと考えられる。

 

 

  • 現代において結婚で成功するためには、文化エリートたちのプロパガンダを拒絶するのが重要である。今のジャーナリスト、大学教授、その他の専門家たちは、恋愛や結婚に対して「自分第一」のアプローチを強調することが多すぎる。しかし、このような自分優先の結婚へのアプローチは、現実の世界では行き詰まる。

 

 

  • 事実、結婚に対して "共同体意識 “が強いカップルほど、結婚生活が うまくいっている可能性がはるかに高い。例えば、共同口座でお金を共有し、夫婦の寛容の倫理を受け入れている夫婦は、結婚生活において著しく幸福であることがデータからわかる。また、離婚裁判に発展する可能性も低い。

 

 

  • また、 幸福な結婚生活の有無は、子育てにも大きな影響を与える。多くのデータによると、 夫婦が離婚しない状況で育った子供の方が停学率が低く、大学を卒業 する確率が高い。より一般的には、 幸福な家庭で育った子供ほど、経済的、社会的、精神的に成長する可能性が高い。もちろん、シングルペアレントや義理の家族でも、 幸福な子育てをする事は十分に可能であるが、両親が揃っていた方が有利な 傾向はデータに現れている。

 

 

  • 貧困層から金持ちになった人たちを 対象にした調査によれば、貧困から脱出できるかどうかを予測する要因の第1位は、両親のいる家庭で 育ったかどうか である。これは、強く安定した家庭が、個々の子供たちだけにとって重要であることを物語る調査結果のひとつだと言える(もちろん、だからといって離婚を否定するわけではない事は言うまでもない)。

    確かに、結婚していない家庭で育った子供たちの多くは問題なく育っている。しかし、社会学の 研究から言えるのは、結婚している家庭のほうが、平均して子供も地域社会も発展しやすいということである。

 

 

ということで、いろいろ書いてきましたが、 このブログを長く読みの方であれば、 以前に「現代では独身の方が幸福だと言うデータもなかったっけ?」 と思った人もいるでしょう。実際、このブログでは、カリフォルニア大学の先生が提示したデータをもとに、「現代では独身のほうが幸福じゃない?」 という話を 紹介したことがありました。

 

本社の見解は、それとは真逆のようですが、 個人的な見解をまとめておくと以下のようになります。

 

  • 「人間の幸福にとっては、良い人間関係は何よりも重要である」 と言う点で両者は一致している。

 

  • 「結婚は幸福だ!」 という主張は、 かなり長期のデータに基づくものであり、結論としては割と強固なものだと思われる。

 

  • ただし「近年では独身者の幸福度が高まっている」 傾向があるのも事実ではある。

 

  • おそらく、トータルで見れば結婚で幸福度が上がる可能性は高いんだけど、結局は、「 いかに良い人間関係を築くことができるか?」 が最重要ポイントなので、その点を満たせるコミュニティさえ 確保できれば問題ないのだと思われる。特に近年は小さなコミュニティを作りやすくなったので、 必ずしも独身だからダメだとは言いづらいはず。

 

ってことで、あくまで良質な人間関係を築くようにがんばりましょうねーって感じですね。どうぞよしなに。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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