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24時間の最適な使い方ってどんな感じですか?

 

 

座りっぱなしは良くないから、立ったほうがいい!

運動はたくさんしたほうがいい!

睡眠はたっぷり取ったほうがいい!

 

というのは、いずれも当たり前の話なんですが、まだ誰もよくわかっていないのが「それぞれの最適な時間配分は?」って問題です。いったい1日のうち何時間まで座ってもいいのか? 軽い運動はどれぐらいすべきか? キツめの運動はどうすればいいのか? 寝過ぎも良くないと言うけど、適切なレベルはあるのか? みたいな問題ですな。

 

ということで、近ごろ、オーストラリアン・カトリック大学などのチームが、「1日のベストな使い方は?」を調べた研究(R)をしてくれていて参考になりました。

 

これは40〜75歳の男女2388人(うち684人が2型糖尿病患者)を対象にした試験で、みんなの太ももに活動計(activPAL)をつけてもらい1週間の活動を記録。このデータをもとに、全員のライフスタイルと、ウエストサイズ、空腹時血糖(FPG)、HbA1cなどと比べたらしい。要するに、1日の時間の使い方によって、心臓病、脳卒中、糖尿病のリスクが変わるのかを見たわけです。

 

この研究では1日の時間の使い方を、以下のように分類してます。

 

  • 座っている時間
  • 立っている時間
  • 軽い運動
  • 中〜激しい運動
  • 睡眠時間

 

このなかで、どの活動をどれぐらいの割合で行っている人が、最も病気のリスクが下がるのかをチェックしたわけですね。

 

その結果、「最適な24時間の使い方」は、以下のことが明らかになりました。

 


1日5時間ちょっとは立て!1日に4時間ちょいは体を動かせ!8時間超は寝ようぜ!って結論でして、このように1日を過ごすと、心代謝健康について最も大きなメリットを得られるわけですね。

 

最適な24時間の活動分布をもうちょい詳しく見てみると、こんな感じになります。

 

  • 座っている時間:平均6時間(5時間40分〜7時間10分)
  • 立っている時間:平均5時間10分(4時間10分〜6時間10分)
  • 軽い運動:平均2時間10分(2時間〜2時間20分)
  • 中〜激しい運動:平均2時間10分(1時間40分〜2時間20分)

  • 睡眠時間:平均8時間20分(7時間30分〜9時間)

 

私の感想としては、立つ時間が思ったよりも長くて、運動の時間がめっちゃ長いですね。特に運動については、一般的な政府のガイドラインをガッツリと超えていて、「こんなに動かなきゃいけないの!?」とビビるレベルでしょう。

 

といっても、この研究では、「中〜激しい運動」の定義は思ったよりもゆるくて、だいたい「1分間に100歩以上」であれば、「中〜激しい運動」みなして構わないらしい。これは早歩きに相当するレベルの活動量でして、それならなんとかなるかなーって感じですね。

 

ちなみに、ここで言う「軽い運動」は以下のような感じです。

 

  • 歩行
    • 通勤や買い物などで徒歩を選ぶ。
    • 散歩やウォーキングを日課にする。

 

  • 家事
    • 掃除、洗濯、庭仕事、料理など。
    • 子どもやペットの世話をする。

 

  • ストレッチや軽い体操
    • テレビを見ながらストレッチを行う。
    • ヨガやピラティスなどの軽いエクササイズ。

 

  • 軽いスポーツやレクリエーション
    • ゴルフ(カートを使わずに歩く)。
    • ボウリング、卓球、ダンス。

 

  • 仕事中の活動
    • デスクワークの合間に立ち上がって歩く。
    • スタンディングデスクを使う。

 

さらに、ここで言う「中〜激しい運動」は以下のような感じです。

 

  • 速歩き
    • 通勤や買い物時に歩く速度を上げる。
    • 公園や街中での速歩き。

 

  • ジョギングやランニング
    • 自宅周辺やランニングコースでのジョギング。
    • ランニングクラブやマラソンイベントに参加。

 

  • サイクリング
    • 街中や自然の中でのサイクリング。
    • スピニングクラスに参加。

 

  • 水泳
    • プールでの自由泳ぎやラップスイム。
    • アクアエクササイズや水中ウォーキング。

 

  • エアロビクスやダンス
    • エアロビクスやズンバなどのフィットネスクラスに参加。
    • ダンス教室やダンスパーティーでの活動。

 

  • スポーツ活動
    • サッカー、バスケットボール、テニスなどのスポーツ。
    • バドミントンやバレーボールなどのレクリエーションスポーツ。

 

  • 筋力トレーニング
    • ジムでのウェイトトレーニング。
    • 自重を使ったエクササイズ(スクワット、プッシュアップなど)。

 

ってことで、このリストを参考にしつつ、自分の日々の活動量を増やしていただければ幸いです。

 

まぁ、以上の知見はあくまで予備的なものでして、より長期間の前向き研究でさらに確認しないと、まだ結論は出しづらいところです。また、このデータだけでは、因果関係もよくわからないところもご注意ください(参加者の時間の使い方が危険因子に影響するのか、危険因子が時間の使い方に影響するのかは不明)。そのうえで、「1日にどんな活動をすべきか?」のざっくりしたガイドラインとして使っていただければ幸いです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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