トレーニングの効果は、たった40秒の運動でも得られるぞ!って研究の話
トレーニングの効果は、たった40秒の運動でも得られるぞ!って研究(R)が、勇気をくれる内容だったのでメモ。
これは早稲田大学などの先生方による研究で、「トレーニング効果をゲットできる『最少量』を解明するぞ!」って目的で実験を行ったんだそうな。これは、運動が嫌いな方には気になる話ではないでしょうか。
これは14人の健康な男性を対象にした研究で、みんなに2種類のエクササイズを指示しております。
- 「10秒の全力スプリント→80秒の休憩」を4セットくり返す
- 「20秒の全力スプリント→160秒の休憩」を2セットくり返す
どちらのエクササイズもエアロバイクを使ってまして、総運動時間は40秒にそろえた感じですね。
なぜこのような実験を行ったかと言いますと、近年の研究では、以下のような報告が出ているからです。
- 40秒のHIIT(20秒の全力運動を、休憩を挟んで2セット行う)は、30分ちょっとの中強度の有酸素運動と同じか、それ以上に最大酸素摂取量を向上させる(最大酸素摂取量が上がるほど、持久力も高くなる)。
- HIITの時間を減らした場合(全力運動10秒を2セットとか、全力運動20秒を1セットとか)では、同じようなような効果が得られない。ただし、その理由はよくわからないし、筋肉への影響もよくわかっていない。
ってことで、過去にも40秒のHIITで効果が出るかも?って知見はあったものの、「それは本当に最小量なのか?」「筋肉にもメリットはあるのか?」ってあたりを掘り下げてくれたわけですね。実にありがたいことです。
でもって、今回の実験でなにがわかったのかと言いますと、
- 10秒の全力スプリントをくり返した場合、全身と筋肉の酸素消費量は、2セット目から増加が止まる。
- 筋肉の酸素消費量は、10秒の全力スプリントよりも20秒の全力スプリントのほうが増える。
- どのタイプの運動でも足の筋肉の活動は増える。
- 10秒の全力スプリントをくり返した場合、全身と筋肉の有酸素性エネルギー代謝を高めるためには2セットで十分。
みたいになります。要するに10秒のスプリントを4本やるなら、20秒を2本やったほうが効率が良いのではないか、と。また、筋肉の酸素消費量についても、20秒スプリントのほうが一気に増えやすい傾向がありそうなのも面白いですね。いずれにせよ、20秒×2セットのHIITだけでも、健康にはかなり良いってことかもしれません。
研究チームいわく、
週に1~2回程度、この運動を定期的に行うことで、全身持久力の指標である最大酸素摂取量や大腿部の筋肉量・筋力の改善が期待できる。
最大酸素摂取量の改善は、アスリートの競技力のみならず、一般成人においても疾病予防につながることがこれまでの研究で明らかにされている。さらに、大腿部の筋肉量は加齢の影響を最も受けやすいと言えるが、この研究で使ったエクササイズは、加齢に伴う大腿部の筋肉量の減少を食い止める一助となるだろう。
とのこと。20秒×2セットのHIITを週に1~2回ぐらいでも、そこそこの効果が期待できるってのはうれしいですねぇ。
さらに研究チームは、
この研究で得られた知見は、日本をはじめ世界各国の運動実施率の改善に資するものだと言える。
WHOの身体活動に関する最新ガイドラインでは、1週間あたり150分以上の有酸素運動や週2回以上の筋力トレーニングが推奨されていて、確かにその推奨は理想的なものかもしれないが、多忙な現代社会においてその推奨事項を満たすことは決して容易ではない。
とも言っておられまして、このあたりも大賛成。「週150分以上の有酸素運動」や「週2回以上の筋力トレーニング」って、それが良いことなのはわかるんだけど、普通に働いている人が達成するのはちょっとしんどいですもんね。
ちなみに、運動に慣れていない人の場合は、1セット20秒の全力スプリントも意外と辛かったりするかもですけど、この点については、以下のような救済策も提示されてました。
この研究では、全力スプリント中の酸素消費量の増大は、だいたい15秒で頭打ちになったので、運動時間をさらに30秒まで短くしても良いかもしれない。
つまり、「15秒の全力スプリント→120秒の休憩」を1セットとして、これを2セットくり返しても似たような効果を得られるかもしれないわけですね。これはさらに楽で良いですなぁ。
以上の結果を踏まえると、ほんの短時間のHIITが、全身持久力や筋力の向上にめっちゃ役立つ可能性が示されたと言えましょう。特に、20秒×2セットで良いと言われれば、これはもう「やるしかない!」って感じじゃないでしょか。運動の継続が難しい方は、ぜひ取り入れてみてくださいませー。