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自分の性格から自分に向いた仕事を判断してみようじゃないか!というメタ分析のメタ分析

 

 

科学的な適職」では、「性格テストでは、いまいち適職って判断しづらいよねー」みたいな話をしております。信頼性が高い性格テストはたくさんあるものの、「自分がどんな仕事に向いているのか?」って問題を判断するのは難しいんですよね。

 

そのため「科学的な適職」では、「防御型/攻撃型」のテストを使って、ある程度まで自分に向いた職種を判断する方法を紹介してみました。これなら割とシンプルな手順で、自分の向き不向きをある程度までチェックできますからね。

 

ただし、ここ最近よく思うのが「ビッグファイブでも適職を判断できるかもなぁ……」ってポイントです。ご存じ「現時点で最も精度が高い性格テスト」であるビッグファイブを使えば、もうちょいガッツリと自分に適した職業を見抜けるようになるんじゃないか?って話ですね。

 

まぁパーソナリティ特性が仕事のパフォーマンスに影響するのは当たり前なんで、自分のビッグファイブがわかれば、自分なりの働き方を見つけるのに役立つでしょうからね。特に近年は、ビッグファイブと職業に関する研究が進んでまして、仕事選びに役立つ感じがしてきたんですよね。

 

ということで、新しいメタ分析(R)もまた「ビッグファイブと仕事のパフォーマンスの関係」を掘り下げてくれていて、大変勉強になりました。

 

ビッグファイブと仕事に関するメタ分析は過去にもたくさん行われてるんですが、この文献は、既存のメタ分析をまとめて、そのデータでさらにメタ分析を行うという、2次的なメタ分析を行っているとこがポイント。いわば「メタ分析のメタ分析」と言えましてひとつひとつの研究を統合したメタ分析から、さらに上位の結論を出すことができるんで、当然ながらかなり精度が高い結果を出せると考えられるんですね。

 

ということで、まずは大きな傾向から見てみましょう。過去のメタ分析によると、性格と仕事のパフォーマンスについては、こんな数値が出ております。

 

  • 外向性:ρ = -0.01-0.10

  • 誠実性:ρ = 0.15-0.29

  • 開放性:ρ = -0.16-0.12

  • 協調性:ρ = 0.07-0.23

  • 情緒安定性:ρ = 0.06-0.16

 

これらの数値をざっくり解釈してみると、だいたい以下のようになるでしょう。

 

  • 感情が安定していて、行動的で社交的な性格の人は、「タスクパフォーマンス」と「コンテクスチュアルパフォーマンス」の両方が改善する。

    タスクパフォーマンスは、中心的な業務や責任を効果的に遂行する能力のこと。たとえば販売職では、売上目標の達成や顧客対応がタスクパフォーマンスに含まれる。

    コンテクスチュアルパフォーマンスは、組織全体の効率や職場環境の向上に寄与する行動や態度のことで、同僚を助けたり、職場の士気を高めたりする行動が当てはまる。

 

 

  • 誠実性が高い人(コツコツとマジメに物事を進められる人)は、仕事における非生産的な行動がめっちゃ少ない。

 

  • 逆に、開放性が高い人(好奇心が旺盛な人)は、仕事における非生産的な行動が増えやすい。好奇心が旺盛な人ほど、新しいチャレンジや新しい試みに欠ける仕事への興味がなくなり、目の前の仕事に集中できなくなってしまうのだと思われる。

 

  • 全体的な仕事のパフォーマンスに関しては、誠実性の高さが最も強く相関が強く、次に感情の安定が相関していた。

 

  • 誠実性の高さ、協調性の高さ、開放性の高さは、いずれも仕事へのコミットメントの大きさや、職場の人間関係のスムーズさに相関していた。

 

  • 開放性が高い人は、個人主義的な文化よりも、集団主義的な文化の職場だとパフォーマンスが悪化する。みんなで頑張ろう!的な風土がある職場では、好奇心にあふれた人の行動は、ちょっと浮いてしまうのだと考えられる。

 

といったあたりは、かなり信頼度の高い結果と言えるんじゃないでしょうか。こうして見ると、ビッグファイブから自分に向いた職業を探す際は、以下のポイントに気をつけるのが良さそうっすね。

 

  • 誠実性

    • 高い場合: 誠実性が高い人は、責任感が強く、計画的に物事を進めるのが得意なので、自己管理が求められる仕事や、計画的な進行が必要な職種が適しているっぽい。例えば、プロジェクトマネージャー、財務・経理などが向いているかも。

    • 低い場合: 誠実性が低めの場合、柔軟性が求められるクリエイティブな職種や、自律性が高い環境のほうが働きやすいかも。たとえば、広告やデザイン、イベント企画とか? といっても、誠実性が低くて良いことはあまりないので、意識して改善していく必要はあり。

 

  •  外向性

    • 高い場合: 外向性が高い場合、人と関わる仕事やチームでの活動が求められる職種が適している。営業、マーケティング、カスタマーサポートなどがよさげ。

    • 低い場合: 外向性が低い場合、個人で集中して取り組む仕事や、静かな環境での作業が向いているはず。プログラミング、執筆、リサーチとか。

 

  • 開放

    • 高い場合: 開放性が高い場合、新しいアイデアやアプローチを求められる仕事が適しているかも。スタートアップ、研究開発、アート関連の職業とか。

    • 低い場合: 開放性が低めの場合、安定したルーチンワークや、既存の手順に従って進める仕事が向いているでしょう。オペレーション管理、行政事務とか。

 

  • 協調性

    • 高い場合: 協調性が高い人は、他者との協力が求められる仕事や、チームでの作業が多い職種が適している。介護、教育、福祉など、人と関わる仕事がよさげ。

    • 低い場合: 協調性が低めの場合、自己主張が重要な職種や、個人の判断が求められる仕事が適しているかも。リーダーシップが必要な管理職や、法律関係の職業が良いかも?

 

  •  情緒安定性

    • 高い場合: 情緒安定性が高い場合、ストレス耐性が求められる職種や、急な変化に対応する仕事がよさげ。医療現場、緊急対応、経営管理とか?

    • 低い場合: 情緒安定性が低めの場合、安定した環境や、予測可能な業務が求められる仕事が向いていると思われる。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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