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結局、脂肪を落とすにはHIITと普通の有酸素運動はどっちがいいの?

 

脂肪を落としたいならHIIT(高強度インターバルトレーニング)が最強!」みたいな話はよく耳にするところ。HIITは短時間で高強度の運動と休息を繰り返すトレーニング法で、このブログでも最頻出な運動のひとつ。いまでは一般知識になりまして、「普通の有酸素運動よりも脂肪を燃やせる!」みたいに思ってる人も多い感じでしょう。

 

では、この考え方がどこまで正しいのかってことで、HIITの脂肪燃焼効果を調べたデータ(R)をチェックしてみましょう。

 

これはHIITと一般的な有酸素運動(MICT)の違いを比べたもの、両者が体脂肪にどんな違いをもたらすかを比べた文献だけをピックアップし、最低週1回ずつ4週間以上のトレーニングを実施した研究だけをチェックしたらしい。その結果を見る前に、HIITとMICTの基本的な違いを整理しておきましょう。

 

  • HIIT(高強度インターバルトレーニング)

    • 運動強度:最大心拍数の80〜90%以上
    • トレーニング時間:15〜30分程度
    • 内容:短時間の高強度運動(例:全力疾走30秒)と休息(例:ウォーキング60秒)を繰り返す
    • メリット:短時間で済む、心肺機能や筋力も同時に向上
    • デメリット:強度が高いため初心者にはきつい、回復に時間がかかる

 

  • MICT(中強度持続的運動)

    • 運動強度:中程度(最大心拍数の50〜70%)
    • トレーニング時間:30〜60分以上
    • 内容:ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など
    • メリット:持続しやすく、心肺機能向上に効果的
    • デメリット:時間がかかる、筋力アップには向かない

 

おそらく日本全体で見るとMICTをメインにしている人が多そうですけど、果たしてどちらのほうが脂肪燃焼に優れていたんでしょうか。結果を簡単に見てみましょうー。

 

  • HIITとMICTの脂肪燃焼効果に差はない?:HIITとMICTの脂肪燃焼効果には有意な差はなかった。具体的には、HIITの脂肪減少量が0.2~0.4kgだったのに対して、MICTの脂肪減少量は0.1~0.3kgだった。つまり、「どちらをやっても、消費カロリーが同じなら、脂肪を燃やす効果もほぼ同じ」 ってことになる。

 

  • HIITはお腹の脂肪に効果的?:ただし、先行研究の中には、HIITは腹部の脂肪(内臓脂肪)を減らす可能性が高いかも?って研究がある (R)。これは、HIITの強度が高いため、成長ホルモンやアドレナリンが分泌されやすく、それが脂肪の分解を促進するからじゃないかなーと考えられている。ただし、これも「確実」と言えるほどの決定的なデータはないので、今後の研究が必要な部分だと思われる。

 

  • HIITの方が時間効率はいいが継続しづらい:HIITは15〜30分で終わるので「忙しい人には最適」とよく言われるが、たいていの研究では「継続のしやすさ」が問題になっている。HIITはめちゃくちゃキツいので、特に運動初心者や体力が低い人だと脱落しちゃうこと続けづらいというデメリットがあります。一方、MICTは負荷が低いので習慣化しやすいのが強み。実際、HIITの研究でも「プログラムの途中で脱落する人が多い」と指摘されていて、「続けられなければ意味がない」って現実が立ちはだかることのほうが多い。

 

そんなわけで、結局のところ、HIITとMICTはどちらも脂肪を燃やす効果があるが、自分に合った方法を選ぶのが大事って感じになりますな。ここらへんを簡単にまとめてみると、

 

  • HIITが向いている人
    • 時間がない人(15〜30分で終わる)
    • すでにある程度の運動習慣がある人
    • 筋力や心肺機能も同時に向上させたい人

 

  • MICTが向いている人
    • 運動初心者や体力が低い人
    • 膝や関節に不安がある人(MICTは衝撃が少ない)
    • 毎日の習慣として継続しやすい方法を探している人

 

みたいになるんでしょうな。ただし、私の場合は、HIITとMICTは組み合わせて使うのが最も効果的なアプローチだろうと考えてまして、「どっちがいいか」で悩むより、両方を適度に取り入れたほうがいいんじゃないかなーぐらいに思っております。

 

例えば、

 

  • 週2回のHIIT(筋トレの日と組み合わせる)

  • 週2〜3回のMICT(リカバリー目的でジョギングをする)

 

といった形で組み合わせれば、脂肪燃焼・心肺機能向上・筋力アップのバランスが取れて良いのではないかと。また、HIITは強度が高いぶん回復に時間がかかるので、筋トレのパフォーマンスを落としたくない人は、MICTを多めに取り入れるのもアリっすね。

 

ってことで、ここまでの話を簡単にまとめると、

 

  • HIITと普通の有酸素運動は、どちらも脂肪を燃やす効果に大きな差はない(消費カロリーが同じなら結果もほぼ同じ)
  • HIITのほうが内臓脂肪が燃えやすい可能性は理論上ある
  •  HIITは短時間で効率的だが、キツくて続けにくい。

  • 普通の有酸素運動は時間がかかるが、継続しやすく負担が少ない

  • 初心者は普通の有酸素運動、経験者はHIIT か 両方組み合わせるのがベスト

 

って感じですね。結局のところ、「どちらが優れているか」ではなく両者の良いところどりをするように考えるのが良さそうっすね。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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