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筋トレは「毎回メニューを変えたほうが効く」のか問題を調べた研究の話

 
 

筋トレ界隈で昔からあるのが、こんな議論であります。

 

「同じ種目ばかりやってると身体が慣れる!」

「毎回刺激を変えないと筋肉は成長しない!」

 

これは「筋肉は同じ刺激にすぐ適応してしまう!」って考え方をもとにした議論で、これをベースに「種目を頻繁に入れ替えろ」や「常に新しい刺激を与えろ」といったアドバイスがなされることが多いっすね。とにかく筋肉を育てるには新たな刺激が必要なので、毎回トレーニング内容を変えるべきだってことですな。というか、私もかつてはこの考え方を取り入れたトレーニングを実践してたりしました。

 

では、このような考え方は正しいのかってことで、新しい研究(R)が参考になります。これは若年女性を対象に10週間の筋トレ介入を行った実験で、まずは被験者を次の2グループに分けてます。

 

  1. 種目固定グループ:毎回、同じ2種目の筋トレをひたすら繰り返す。たとえば、「45度レッグプレス+スティフレッグデッドリフト」をずっとやるとか。

  2. 種目ローテーショングループ:週3回のトレーニングで、毎回違う種目を行う。たとえば、「月曜はレッグプレス → 水曜はハックスクワット → 金曜はスミスマシンスクワット」みたいな感じ

 

当然ながら、筋トレのセット数・回数・頻度は同じにそろえてまして、「種目を変えるかどうか」だけを変えて、筋肉や筋力の成長にどのような違いが出るのかをチェックしてみたわけです。筋トレ好きが知りたいことをダイレクトに調べてくれていて、実にありがたいですね。

 

で、肝心の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 筋肉の増え方については、両グループで差がなかった

  • 筋力の増え方については、両グループで差がなかった

 

ってことで、筋トレの種目を変えようが、同じメニューを続けようが、これといった違いは見られなかったんだそうな。「種目を毎回変えたほうが有利!」って考え方は、ここでは完全に裏切られた感じですな。

 

となると、なんで通説と違って差が出なかったのかってのが気になりますけども、ここで研究チームが指摘している最大の理由は、いわゆるニュービーゲイン(初心者ボーナス)であります。要するに、筋トレの初心者ってのは、

 

  • 多少フォームが雑でも
  • 種目が最適でなくても
  • プログラムが適当でも

 

とりあえず筋肉の量と力は伸びていくので、この段階では「種目を変えたかどうか」より「ちゃんと負荷をかけたかどうか」のほうが、はるかに重要になっちゃうんですよ。なので、筋トレの種目を固定しようが変えようが、同じように伸びるんですね。

 

となると、「じゃあ、ずっと同じ種目だけやっとけばいいのか?」といった解釈をしたくなりますが、おそらくそこまで極端に振らないほうがいいかもしれません。というのも、理論的には両方にメリットがあるはずでして、それがどういうことかと言いますと、

 

  • 種目を固定するメリット
    • 進歩(重量・回数)を追いやすい
    • フォームが安定しやすい
    • 漸進性過負荷をかけやすい

 

  • 種目を切り替えるメリット
    • 筋肉の違う部位に刺激が入りやすい
    • 関節や腱への負担が分散される
    • メンタル的に飽きにくい

 

みたいになるわけです。つまり、「どっちが絶対に正しい」という話じゃないので、目的やレベルに応じて両方をうまく使い分けるのが現実的だと思うわけです。

 

なので、今回の研究と、これまでの過去の研究を踏まえて考えると、現実的なアドバイスはこんな感じになるんじゃないでしょうか。

 

  • メイン種目は固定する

  • ただし、補助種目で変化をつけるといいかも

 

具体的には、

 

  • スクワット
  • ベンチプレス
  • デッドリフト
  • 懸垂

 

みたいなメインの筋トレ種目は数週間〜数か月ぐらいの期間で固定しておいて、その一方で、

 

  • マシン種目
  • ダンベル種目
  • アイソレーション種目

 

みたいな種目はローテーションしてみてもいいんじゃないかと。これなら進歩も測れるし、刺激も分散できるし、ケガのリスクも下がるしでいいとこ取りができるかと思いますんで。

 

最後に「筋肉は刺激に慣れる」って考え方も、あらためて整理しておきましょう。果たしてこの発想が正しいのかどうかってことですが、これについては「半分だけ正しい!」って感じになるんじゃないでしょうか。もうちょい正確に言いますと、

 

  • 負荷が変わらない刺激には慣れる

  • 負荷が増え続ける刺激には慣れない

 

ってことになるでしょうね。つまり問題は「種目をいろいろと変えるかどうか」じゃなくて、「負荷の進歩が止まっているかどうか」が大事だってことですな。種目をコロコロ変えても重量と回数が停滞していたら意味がないし、逆に同じ種目でも重量や回数が伸び続けていれば、筋肉はちゃんと成長しますんで。

 

ということで、最後に話をまとめておくと、

 

  • 筋トレの種目は、ひとつに固定しようが、いろいろと変えてみようが筋肥大・筋力に大差はない

  • 特に初心者は、とにかく「ちゃんと負荷をかける」ことを最優先するほうがよい

  • とりあえず「メインの種目は固定」しておいて、「補助種目はいろいろ試してみる」みたいなやり方がベストな戦略だと思われる

 

みたいになります。これを一言でまとめると、「筋トレで大事なのは、種目よりも漸進性過負荷と継続!」ってことでして、いろいろ試してみるよりは、「今日も一段階ぐらい重量を上げられるか?」ってのを考えたほうが実入りは良いんじゃないかと。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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