「夜に食べると太る!」はどこまで本当か?
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/09/blog-post_23.html
「夜食を食べると太りやすいのは本当ですか?」ってご質問をいただきましたので、ちょっと考えてみたいと思います。
「夜の食事はデブになる」ってのは昔から定番の説でして、代表的な理由としては、
といった理屈が考えられております。どちらも一理ある話で、日が暮れ始めると、確かに上のようなメカニズムが動き出すんですよね。
ところが面白いもので、実際に人間を対象にした実験では、いずれも「夜食を食べても太らない!」って結果が出ているんですな。
有名なのは2007年の論文(3)で、イスラム教徒の若者を対象にラマダン中の体組成を調べたところ、夜や大量の食事を食べていたにも関わらず、筋肉量は減っていなかった上に、逆に体脂肪が減っていたというんですね。ご存じのように、ラマダンでは朝から日没まで何も食べずに過ごすので、プチ断食の効果がくわわったせいかもですね。
ほかにも、食事のタイミングの体重の変化を調べた実験がいくつかありまして、
- 夜に多く食べた被験者は、朝食をガッツリ食べた被験者よりも体脂肪が減った(4)
- 朝食のカロリーを増やした実験では、朝よりも夜に食べたほうが体重の減少度は高かった(5)
- 肥満女性を対象に食事をとる時間と体重の変化をみたところ、肥満に影響を与える体内時計の変化はさほど見られなかった(6)
などなど。こうして見ると、夜になって代謝が落ちたりBMAL1が増えたところで、実際に体脂肪にあたえる影響は無視していいレベルのように思えますねぇ。
ちなみに、慶応大学の伊藤裕教授によれば、日が暮れて以降のほうが体がリラックスしているため、効率よく栄養を吸収できるそうなんで、よい睡眠をさまたげない時間帯に食べているかぎり、夜のほうが食事には向いているんじゃないかと。
credit: Alvaro A. Novo via FindCC