体幹トレーニング器具で、本当にコアマッスルは鍛えられるのか?
世の中には、体幹トレーニング器具って商品がありますな。ここでは、その効果について考えてみたいと思います。
確かに体幹器具の効果はなくもないが…
そもそも体幹トレーニング器具というのは、例えばこんなのとか。
他にもこんなのとか。
つまり、あえてバランスの悪い状態でトレーニングをする器具のこと。足元が悪いと自然に身体がバランスを保とうとするので、結果として普通のトレーニングよりも体幹が鍛えられるって発想ですね。
これらの商品は、いくつかの実験データ(1,2)が根拠になっております。バランスが悪い状態で筋トレをしたところ、硬い地面の上で同じトレーニングをしたときよりも体幹の刺激度が高くなったというんですね。体幹器具に乗って10キロのダンベルを持ち上げるほうが、普通に地上で10キロを持ち上げるよりも、間違いなく筋肉は効率よく鍛えられるわけです。
重量を調整すると体幹器具の意味はなくなる
が、実はこのデータには、ちょっと問題があるんですな。というのも、上の論文は、いずれも超軽い重量でしか実験を行ってないんですよ。
当然ながら、体幹器具の上では普段より軽いダンベルを使うしかないわけで、その重さに合わせて比較をすると、どうしても普通のトレーニングは分が悪くなっちゃう。言い換えれば、「体幹器具の上で10キロを持ち上げるんなら、硬い地面でいつもどおり20キロを持ち上げても変わらないんじゃない?」って話です。
で、そのへんをガッツリ調べてくれたのが、2009年にイリノイ大学が行った実験(3)。ちゃんと重量の問題を調整した状態で体幹器具を使ったらどうなるかを調べた研究でして、被験者にはスクワットやデッドリフトなどを行なってもらったらしい。
すると、おもしろいことに体幹器具と普通のトレーニングの差は消えちゃったんですな。スクワットやデッドリフトに関しては、腹部や背中周りの筋肉の刺激レベルはどちらも同じぐらいで、とくに体幹器具のほうが優秀だって結果は出ず。どころか、オーバーヘッドプレスでくらべた場合は、普通に地面のうえで行ったほうが腹直筋(割れた腹筋を作るのに必要な部分ですね)の刺激レベルは上だったそうな。
まとめ
そんなわけで、体幹器具が本当に使えるかどうかを見てきました。結局のところ、硬い地面のうえでダンベル運動をしても結果は変わらないようなので、体幹器具を買うなら、まずはダンベルを買うのが先じゃないかと思う次第です。