食品添加物の定番「大豆レシチン」にはどこまで気をつければいいのか?
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/06/blog-post_13.html
コメント欄で、レシチンに関するご質問をいただきました。
スズキさんおすすめのプロテイン「ファイン・ラボ ホエイプロテインピュアアイソレート」 ですが、プレーン以外にスクラロースが入っているのが毎日飲むとすれば気になります。 それと原材料のレシチン(大豆由来)、乳化剤(大豆由来)の「大豆」は抗栄養素なのかなと思ったり・・・・ いずれも問題ないのでしょうか?
とのこと。プロテインに入っている添加物は大丈夫?というご心配ですね。
で、まずはスクラロースですが、人工甘味料や糖アルコールは基本的に腸を荒らす可能性があるので飲まないほうが吉。わたしもプレーンの商品しか飲んでおりません。この問題については、いずれもっとくわしい話を書いてみたいと思います。
レシチンは毒性が高い?
続いてレシチンですが、これはいろんな商品に入っている添加物なので、もうちょい深めに掘ってみましょう。レシチンは、大豆にふくまれる不飽和脂肪酸の一種。もっとも定番な添加物の1つでして、おもに加工食品の乳化剤に使われております。ネットなんかではレシチンをディスる声も多くて、具体的には、
- レシチンはアレルギーの原因になる!
- レシチンの植物ホルモンが内分泌系を乱す!
- そもそもレシチンは毒性が高い!
の3つが定番かと思われます。それぞれ見ていきましょうー。
重度の大豆アレルギーでなければ問題はない
大豆はアレルギーを起こしやすい食品なので、レシチンもアレルギーの原因になる!って説であります。確かに、1998年に行われた調査(1)によれば、一部の大豆レシチンからアレルギーを引き起こすタンパク質が見つかってまして、ちょっと不安になってしまうところ。ただし、1998年の実験(2)だと、レシチンのなかに大豆タンパクが残ってたとしても、アレルギー症状は引き起こさないとの結論になっております。そもそもレシチンにふくまれるタンパク質は極小ですし、さらに食品に使われる量は全体の1%以下(3)なので、よほど重度の大豆アレルギーでなければまったく問題はないみたいです。
確かに植物エストロゲンはふくまれますが…
続いてレシチンにふくまれる植物エストロゲンの問題。「ガチのパレオダイエットでは豆類がNG食品になっている理由」にも書いたとおり、豆類の植物エストロゲンはいろんなトラブルを起こしがちで、2011年の調査(3)によれば、大豆レシチンには内分泌系を乱す作用のある成分が確認されております。ただ、これもやはり量の問題でして、そもそもレシチンには悪影響がデカいゲニステインが入ってないため、食品に使われるレベルならまず問題はないとのこと。
そりゃあ多く摂りすぎれば問題はでますが…
レシチンの毒性について有名なのは1985年の実験(4)で、マウスに対して全体の食事の2〜5%をレシチンにしたら、運動や認知機能がダメージを受けたって話であります。思わずビビッてしまうデータですが、こちらもやはり量の問題がデカいところ。普通に食事をしていたら、総カロリーの2%がレシチンで占められる状況はまずあり得ませんからねぇ。さらに、レシチンの毒性については、
- レシチンには有機溶媒が残っている可能性が高い:原油を精製する際にヘキサンって有機溶媒が使われるんですが、こいつを完全に取り除くのは難しいんですね。2000年のデータ(5)では、およそ500ppm以上のヘキサンが検出されてまして、これは医薬品の規制値の1.5倍ぐらい。
- レシチンには農薬が多く残留してる可能性が高い:原料の大豆には農薬が多く使われてまして、レシチンの状態になってもかなり成分が残っちゃう。1981年の調査(6)では、およそ400ppbの農薬が取り除かれずに残ってることがわかっております。
なんて怖い話もあるんですけども、これまた通常の食品に使われるレシチンの量ならまったく問題はなさげ。とくに、パレオダイッターは日常的に加工食品を減らす暮らしをしているはずなんで、さらに心配は不要になるかと思われます。
まとめ
といったところで以上の話をまとめますと、- 確かに、レシチンを多くとれば問題が出る可能性はある
- ただし、食品に使われるレシチンは超少ないので、問題が出るレベルでもない
- プロテインのレシチンについては、プロテインのメリットを打ち消すほどでもない
といったところです。個人的にはほとんど心配してませんが、まぁプロテインも無理して飲むほどのものでもないので、どうしても気になるならタマゴやチキンでタンパク質を補っちゃえばいいと思います。ご参考になりましたでしょうかー。
Credit : Rodrigo Paoletti