辛いカロリー制限をしなくても自然にベストな食事量に落ち着く「プロテインレバレッジ仮説」
当ブログでは、タンパク質で食欲はコントロールできるんですよーって話を何度か書いております。
タンパク質が満たされるまでヒトの食欲はおさまらない
これはプロテインレバレッジと呼ばれる仮説で、2005年にオックスフォード大学のシンプソン博士が報告したもの。その内容を一言でいえば、
必要な量のタンパク質が満たされるまで、ヒトは摂取カロリーを増やし続ける
といった感じになります。もしタンパク質が足りないと、ヒトの食欲はひたすら増大していき、体の維持に必要な量に達するまでカロリーを摂り続けるわけですね。
プロテインレバレッジ仮説はここ数年で研究が進んでまして、ざっと並べてみますと、
- 過去の38件のデータを調べた、タンパク質の摂取量が増えるほど総摂取カロリーは減る傾向が見られた(2013年,1)
- 22名の参加者にタンパク質の比率を増やした食事をしてもったところ、食欲の減少がみられた(2011年,2)
- 79名の男女にタンパク質の比率を変えた食事をとってもらったら、高タンパク食のほうが自然に総摂取カロリーが減った(2013年,3)
などが有名なところ。特に2013年の論文(1)は38件ものデータを精査した労作で、タンパク質が食欲のコントロールに効くのはほぼ間違いないと思われます。
総摂取カロリーの15%がタンパク質の最低ライン
「じゃあ、どれだけタンパク質を増やせばいいの?」って話になりますが、もっとも参考になるのが2011年の論文(2)であります。
これはシドニー大学の実験で、22名の参加者に以下の条件で食事をしてもらったんですね。
- カロリー制限はせず、食欲の命じるままに食べる
- 最初の4日間は総摂取カロリーの10%をタンパク質にする
- 続く4日間は総摂取カロリーの15%をタンパク質にする
- 最後の4日間は総摂取カロリーの25%をタンパク質にする
その結果は、
- タンパク質量10%の時期が、もっとも総摂取カロリーは増えた
- タンパク質量を15%から25%に増やしても、空腹感に変化は出なかった
- タンパク質量10%の食事を続けると、日を追うごとに総摂取カロリーは増えていく
といった感じ。総摂取カロリーの10%ちょいのタンパク質だと食欲は増えていくばっかりなんで、最低でも15%以上は摂りたいところですねー。 よくタンパク質の摂取量は「体重(kg) × 1g」で出したりしますが、総摂取カロリーとの割合で考えたほうがよさそうな気もいたします。
タンパク質の最低量を出す方法としては、
- TDEEを計算して自分に必要なカロリー量を出す
- TDEE × 0.15 ÷ 4 で必要なタンパク質量(g)を出す
って感じですかね。この計算だと、TDEEが2,000calの場合は75gが最低ラインになりますね。
まとめ
そんなわけで、プロテインレバレッジにもとづいたタンパク質量を見てみました。もちろん空腹感は複雑な現象でして、ほかにもいろんな原因があるわけですが、ひとまずタンパク質を増やしてみるのは良い対策になると思います。
まぁ狩猟採集民たちは平均で19-35%のタンパク質を摂ってますんで、個人的にはもうちょい食べたほうがいいかなーとは思いますけど。
Image credit: shutterstock