毒素を出して痩せまくると噂の「脂肪燃焼スープ」には効果があるのか?
こんなご質問をいただきました。
はじめまして。いつも参考にさせて頂いてます。脂肪燃焼スープダイエットは効果があると思いますか。
とのこと。脂肪燃焼スープには詳しくないので、まずはgooダイエットの記事を読んでみました。これによると、
脂肪燃焼スープの具になるのは、キャベツ、タマネギ、セロリ、トマト、ピーマン、ニンジンの6種類の野菜です。これらの野菜を、コンブ、かつお節、鶏がらの3種のだしで煮て、最後に天然塩とショウガを入れて味つけ。たったこれだけで、お腹いっぱい食べてもダイエット効果を発揮してくれる魔法のスープが完成し ます。
といったものらしい。このスープがダイエットに効く理由は、
脂肪燃焼スープを食べると、その中に含まれる食物繊維が複合的に腸を刺激し、便通を強力に改善。体内に長時間とどまっている便を取り除いてくれるのです。
こうして腸がキレイになれば、血液もキレイになり、全身の細胞が活性化されます。つまり、脂肪燃焼スープは、食べれば食べるほど体内の環境を整え、代謝をアップしてくれるというわけです。
野菜のデトックス効果により、脂肪が燃えやすい体になるんだ、と。
というわけで、まずは結論から申し上げますと「理屈はおかしいがダイエット効果はある!」って感じです。どういうことかと言いますと…
そもそも「デトックス」系の話には疑ってかかりたい
第一に、食物繊維で体内の便が取り除かれ、そのおかげで代謝が上がるって理屈が謎。以前に「宿便は都市伝説」って話でも書いたとおり、腸内の粘膜はガンガンに入れ替わってまして、便秘の方の腸内でも十分にキレイなんですよ。
また、体内の毒素を排出させるのはおもに肝臓と腎臓の役目でして、腸をいたわるだけでは不十分かと。当然、腸の毒素のせいで脂肪や糖分がよけいに吸収されるなんて事態も起きません。デトックス系の話は、どうにも怪しいものが多くてアレですねぇ。
とはいえ「脂肪燃焼スープ」に効果がないわけじゃありません。どころかダイエット法としてはかなり優秀な部類だと思います。どういうことかと言いますと…
「脂肪燃焼スープ」は食事報酬を下げる
当ブログでは、現代人が肥満になる原因として「食事報酬」を重要視しております。食事報酬は、食品によって脳の興奮レベルが大きく変わる現象のことで、頭への刺激が強い食品ほど「食事報酬が高い」と呼ばれ、食欲を暴走させる作用を持っております。
なかでも食事報酬を高めるのが、
の3点。基本的には、加工レベルの高い食品ほど脳が暴走しやすいとお考えください。
その点「脂肪燃焼スープ」は野菜とダシだけを使ったシンプルな料理ですから、食事報酬はかなり低め。自然と食欲は適正レベルに落ち着いていくわけです。特に「脂肪燃焼スープダイエット」では酒や加工食品もNGのようなんで、さらに食事報酬は低くなっていくかと思います。
食事報酬についてさらにくわしくは、以下のエントリをどうぞ。
- なぜ人は食べ過ぎてしまうのか?「食事報酬と肥満 その1」
- あなたが痩せないのは意思が弱いからではない「食事報酬と肥満 その2」
- 糖質と脂肪はどちらも同じように人を太らせる「食事報酬と肥満 その3」
- 苦しまずに体脂肪を減らすための『脳の再トレーニング』ガイド「食事報酬と肥満 その4」
「脂肪燃焼スープ」は「食欲調整スープ」と呼ぶほうが正しい
以上の話をまとめますと、
- 別に「脂肪燃焼スープ」で脂肪が燃えやすい体になるわけではない
- 「脂肪燃焼スープ」が効くのは、自然と食欲を減らす効果が高いから
といった感じ。つまり、「脂肪燃焼スープ」は「食欲調整スープ」と呼ぶほうが正しいのではないかと思う次第です。
実際、わたしもよくスロークッカーで超テキトーな野菜スープ(野菜とスープストックだけ)を作って飲んでますけど、一食で500〜600cal分も食べれば腹いっぱいになりますからねぇ。「脂肪燃焼スープ」と皮なしの鶏の胸肉を組み合わせれば、かなり優秀なダイエット食になるんじゃないでしょうか。