好きを仕事にしようがしまいが最終的な幸福には大差はなし!じゃあ今の仕事が嫌なときはどうすればいいの?みたいな話
よく自己啓発本では「好きを仕事に!」などと言いますが、わたしはまったく信用しておりません。おそらく「幸福を追いかけると逆に不幸になる」って研究と同じ心理が働くので、「好きなことで食ってくぞ!」と意気込むほど、現実の仕事とのギャップに苦しむんじゃなかろうか、と。
実際、過去には「夢や情熱を追っても『天職』は見つからない」や「情熱は後からついてくるんだから、とりあえず働け!」なんて研究もありまして、学問の世界でも「好きを仕事に?はぁ?」みたいな状況かと思います。個人的にも「好きなことだけで生きていく」みたいなフレーズを見るとむずがゆくなっちゃうタイプ。
というと「嫌な仕事は受け入れるしかないの?」って話になりそうですが、そのへんを調べてくれたのがミシガン大学による最近の実験(1)であります。詳細ははぶきますが、272名の参加に4パターンの聞き取り調査を行った研究で、仕事の考え方が個人の幸福レベルにどう影響するかと調べたんですね。
その結果、すべての人は以下の2パターンの「仕事観」を持っていることがわかったそうな。
- 適合派:「自分にピッタリの仕事がどこかにあるはずだ!」と考えるタイプ。「給料が安くても満足できる仕事をしたい!」と答えがち。転職率が高い
- 成長派:「仕事を続けるうちに好きになれるはずだ!」と考えるタイプ。「そんなに仕事は楽しくなくてもいいけど給料は欲しい」と答えがち。転職率は低い
研究では大半の人が「適合派」で、「成長派」は少数派だった模様。ぱっと見は適合派のほうが幸せになれそうですが、長い目で見た場合、両者の幸福度と成功レベルはほぼ同じぐらいに落ち着いたらしい。つまり、好きを仕事にしようがしまいが、最終的な幸福には大差がないわけですね。
以上をふまえたうえで、研究者は2つのメリットとデメリットを以下のように分析しております。
適合派は自分に合った職を探すのがうまい。しかし、実際にはどんな仕事にも好きになれない面があるため、最終的には現実的なラインを探して妥協しなければならないだろう。
いっぽうで成長派は、新たな仕事の困難を耐えぬくことができるため、良い結果を残しやすい。ただし、そのぶん本当にヒドい職場なのにガマンしすぎてしまう傾向もある。
そんなわけで、もしいまの職場が嫌な場合は転職もアリでしょうが、まずは仕事への情熱を増やす方向で考えてみたほうが楽でいいかも。なにせ、自分が好きな仕事についたところで最終的な幸福は変わらないわけですからね。具体的には「科学的に最強の『やる気を出す』方法」を参考に、毎日「小さな勝利」を積み重ねていければよいかと。
いずれにせよ、「自分は好きを仕事にしてるんだろうか…」とか悩むのが一番エネルギーのムダですんで、まずは現在の仕事を前進させてみることをおすすめします。