親がどんな育て方をしようが子どもの性格にはほぼ影響がないんだから、子育ては気楽にどうぞ。みたいな話
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/01/blog-post_57.html
双子研究で親の影響を調べた
こないだ「ヒトの性格の半分は遺伝で決まる」って話を紹介したところ、こんなご質問をいただきました。ヒトの性格は半分が遺伝で決まっちゃうの記事を読ませていただきました。思ったのですが、これは遺伝というか、家庭環境の問題じゃないのですか? 親と子どもが同じ家庭で暮らしているから、性格も影響を受けていくのではありませんか?
とのこと。実にごもっともな疑問で、わたしも以前は「性格は親のしつけで決まるんじゃないの?」と思っておりました。
ところが現在の遺伝学では、おもしろいことに「親の影響なんてほとんどゼロ!」って結論なんですよ。なぜこんなことがわかるかというと、簡単に言えば双子の人たちを大量に調査したからであります。ざっくり言うと、
- 生まれた直後から別の家庭で育てられた一卵性双生児を探す
- それぞれの性格に違いが出ているかどうかをチェックする
といった研究をたくさん行ったんですね。この条件で性格に差が出ていれば、「家庭の違いは性格にも影響をおよぼす」って結論になるわけであります。
親の育て方の影響は超低い
その結果は前回も紹介した論文(1)に出てまして、その結論だけ抜き出すと、- 遺伝が性格に与える影響は38〜50%だが、親の育て方や家庭環境が与える影響は0〜11%ぐらい
って感じ。一般的なイメージよりもかなり影響が低いですよね。
以上のデータをまとめて大事なところを表にすると、以下のようになります(2)。
共有環境は「親の育て方や家庭環境」のことで、非共有環境は「友人や学校といった外部の環境」のこと。基本的には、どの項目でも親と家庭環境の影響はかなり少なめで、友人や学校のほうがかなりのウェイトを占めております。
つまり親がどんな風に育てようが、ほぼ遺伝と友人で子どもの性格は決まっちゃう可能性が大(もちろん虐待やネグレクトなんかは別ですが)。実際、現代の心理学者で「子育てが大事!」と言ってる人はほとんどいないかと思います。
まとめ
まぁ逆に言えば、この結果は、子育てにプレッシャーを感じている人には良いニュースかも。もともと親の影響なんてゼロに近いんだから、子どもの性格形成に悩むだけムダですもんね。また、この研究はあくまで「平均的な子育て」についてのデータでして、たとえば「子供への暴力」や「心理的な虐待」といった、過剰にネガティブな養育法についてはまた別の話ですのでご注意ください。
そんなわけで、いまのとこ両親が子供にできるのは、
- 良い友人ができやすい環境を作ってあげる
- 性格の欠点を活かすための情報を伝えてあげる
- セルフコントロールを高めるためのテクニックを伝授する
あたりに専念したほうが実りは多いかもしれませんねー。