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なぜネガティブな人は運が悪いの?を科学的に説明してみると…

Loneliness

 

やたら運の悪い知り合いがおりまして。なんでも道を歩けば鳥のフンを頭に落とされ、雪が降れば滑って転び、職場では必ず嫌なヤツとペアを組まされるんだそうな。

 

 

ネガティブな人ほど交通事故にあいやすい

どこにでも不運な人はいるもんですが、近ごろ出た論文(1)を見ると、どうやら単に偶然の問題ではなさそう。ネガティブな人ほど不運を呼びこむ科学的なメカニズムがあるみたいなんですな。

 

 

これは中国科学院の実験で、38名のドライバーを対象にしたもの。まずは全員の交通事故歴を調べたうえで、安全運転グループと危険運転グループにわけたんだそうな。

 

 

その後、全員に様々な写真を見てもらい、それぞれのイメージに対する反応スピードを調べたんですね。具体的には、

 

  • ポジティブな写真(喜ぶ人々とか)
  • ネガティブな写真(泣き叫ぶ子どもとか)
  • ニュートラルな写真(町の風景とか)

 

といった内容の画像を80枚ほど用意したらしい。その結果、交通事故を起こしやすい人ほど、ネガティブな写真に強く反応する傾向があったというんですな。これは、専門的には「ネガティブバイアス」と呼ばれる心理状態であります。

 

 



 

 

不運を呼びこむメカニズムは「ネガティブバイアス」

ネガティブバイアスは、その名のとおり否定的な現象につい意識が向いてしまう傾向のこと。俗にマイナス思考と呼ばれる人は、ネガティブバイアスを持っているケースが多いんですな。

 

 

ちなみに、マイナス思考と事故の関係は過去のデータにもハッキリ出ております。たとえば2012年の実験(2)では、ネガティブな人は余計なことに気を取られがちで、結果として事故を起こしやすい傾向があったんだとか。つまり、

 

  1. 対向車線にスピード違反の車が出現
  2. ネガティブバイアスのせいで対向車にばかり意識が向く
  3. 自分の運転がおろそかになる
  4. 事故!

 

みたいな流れです。ネガティブバイアスのせいで、視野が狭くなっちゃうわけですね。

 

 

2011年の実験(3)でも似たような結果が出ていて、ネガティブな感情が多い人は一度にひとつのことしか意識が向かなくなり、目の前の危険を見逃しちゃう可能性が高まるんだそうな。もともとネガティブな感情には集中力を高める作用があるんですが、この効果が裏目に出ちゃってる感じですかね。

 

 

この仕組みを、先に紹介した鳥のフンが当たりやすい人に当てはめると、

 

  1. ネガティブ思考でマイナスな感情が増加
  2. 脳が警戒モードに入って視野が狭くなる
  3. 路上の危険にばかり目が行き、上空の危険に気づかない
  4. 鳥のフン直撃!

 

といった流れでしょうか(笑)。逆にポジティブな人は視野が広いので、自然と鳥の下を避けて歩くのかもしれませんな。

 

 

まとめ

そんなわけで、ネガティブな人ほど不運を招く仕組みのお話でした。ネガティブバイアスは根深い問題ですが、「運のいい人の法則 」で有名なワイズマン博士によれば、心理学的に運を鍛える方法はある!とのこと。自分のバイアスにお悩みの方はお試しください。

 

 

もっともネガティブバイアスを正すのはかなり難しいので、長期的には認知行動療法とかでコツコツ修正していくしかないかと思われますが。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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