週末の「寝だめ」には効果があるの?「体は回復するが頭の回転まではもどらない」
「寝だめって本当に良いの?」って疑問は昔からあるんですが、 新たに出た論文(1)によれば、とりあえず体の代謝機能には効果があるみたい。
週末の寝だめで糖の代謝は元に戻る
これはシカゴ大の実験で、参加者の数は19名。まずは全員に1日4時間半の睡眠を4日ほど続けてもらいながら、インスリン抵抗性と糖尿病リスクを計測したらしい。その結果は、
- インスリン抵抗性が23%もアップ(≒メタボの可能性が上がった)
- 糖尿病のリスクが16%もアップ
って感じだったみたい。たった4日の睡眠不足でも、ヒトの代謝はがっつり悪くなるんですねぇ。
ところが、その後で全員に2日続けて9.7時間睡眠を指示したところダメージが一気に回復。もとのレベルまでインスリン抵抗性がもどったんだとか。研究者いわく、
若くて健康な人たちは、平日に十分な睡眠を取らないことが多い。しかし彼らの糖尿リスクは、週末に「寝だめ」をすればカバーできるのだ。
とのこと。とりあえず糖の代謝が復旧するのはありがたいですね。
寝だめで体内のストレスホルモンも下がる
さらに2013年の論文(2)では、「寝だめ」で体内の炎症やストレスが下がることもわかっております。これは30名の男女を対象にした実験で、
- 6日間の睡眠制限(1日6時間以下)
- 3日連続の寝だめをしてもらう(1日10時間以上)
といった手順で行われたんですね。すると寝だめをした参加者は、
- 体内の炎症物質が減少
- コルチゾールの減少
- 疲労感の低下
- 眠気の解消
といった変化が出たんだそうな。どうしても平日に睡眠を削りがちな人は、週末に9〜10時間ほど寝れば体の機能は回復するみたい。
「寝だめ」をしても頭の回転まではもどらない
もっとも、「週末に寝れば平日は4時間半の睡眠でもOK!」って説は、昔から睡眠研究の世界ではよく言われてきた話でして、睡眠専門医の遠藤拓郎さんなんかも「4時間半熟睡法」で同じ方法を提唱してたりします。
ただしひとつだけ問題なのが、「寝だめ」をしても頭の回転まではもどらないところ。上にあげた2013年の研究では、体のダメージは週末の寝だめで回復したものの、認知機能はもとに戻らなかったらしいんですな。
研究者いわく、1日に6時間以下の睡眠が続くと認知機能は下がっていき、こうなると2日ぐらいの過眠では追いつかないみたい。結局、体の疲れは取れても頭は鈍いままなんで、万全の状態にもどすには平日もちゃんと寝るしかないんでしょうな。
というか、そもそもわたしの場合は、
- まずは1日の睡眠時間を決める
- 決めた睡眠時間をもとにスケジュールを立てる
- 就寝時間が来たらアラームが鳴るようにセットしておく
といった感じで、睡眠を再優先にして1日の行動を組み立てております。最終的にはこっちのほうが効率がいいのでオススメ。