大人になってからの慢性病は9割が自己責任だぞ!みたいな話「なぜヒトは病気になるのか? #1」
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/02/1.html
こないだ「狩猟採集民は意外と健康ですよー」って話を書いたところ、わりと聞かれたのが遺伝の問題であります。つまり狩猟採集民の方々は、もともと強い遺伝的の持ち主なんじゃないのか、と。
たしかに遺伝の影響は強力でして、たとえば日本人と欧米人では糖質の処理能力に生まれつき大きな違いがあることも知られております。欧米人は糖代謝の力が強いんで、すぐには糖尿病にならずにガンガン太っていくケースが多いんだそうな。
ヒトの健康のおよそ90%にはエクスポゾームが支配する
で、ここで参考になるのが、「エクスポゾーム」って考え方です。これは2005年に生まれた新語で(1)、ヒトの健康のおよそ90%にはエクスポゾームが関係あるというんですな。
エクスポゾームとは、個人が生まれてから現在までの間に体験してきた物事の合計のこと。たとえば、
- これまで食べてきたすべての食事
- 吸ってきた空気の質
- 飲んできた水の質
- 運動の質と量
- 友人との関係性
- 選んできた仕事
などあらゆる要素が関係しております。「ライフスタイル」をさらに広くしたような概念ですね。
大人になってからの慢性病は9割が自己責任
近ごろ世界の科学者がエクスポゾームの重要度を調べてまして、ざっくりした概算では、遺伝そのものがヒトの健康にあたえる影響は10%以下しかないとのこと(2)。具体的なエクスポゾームの内容は、以下の3つのカテゴリに分類されております。
- 特定の外部環境:食事、飲料水、運動、サプリ、コスメ、喫煙など、個人に特定の要因。ほかにも両親の健康状態や子ども時代の友人関係などもふくまれます。
- 一般的な外部環境:住んでいる土地の気温、交通量、居住国の経済状況、教育システム、国の福祉や保険システムなど。
- 個人の内部環境:腸内細菌の質、体内の炎症レベル、ホルモンバランス、酸化ストレスなど。
いやー、本当に幅広い。確かに遺伝は大事な設計図なんですが、実際に家を建てるのはエクスポゾームなわけですね。
つまり、
- 悪いエクスポゾームが積み重なる
- エクスポゾームが悪い遺伝子を活性化
- ホルモンや炎症レベルの悪化
- 慢性病に!
みたいな流れです。もちろん子ども時代のライフスタイルは選べませんが、大人になってからの慢性病は9割が自己責任だと申せましょう。
といっても急に人間関係や国の福祉システムを変えるのは難しいので、わたしたちにコントロールできるのは、
の6つぐらい。なかでも食事・運動・睡眠・ストレスはエクスポゾームの四天王なんで、まずはここから手をつけていただければと思っております。