「あきらめたらそこで試合終了ですよ」の正しさが科学的にも証明された件
最高の仕事に年齢は関係あるのか?
実は「スラムダンク」を読んだことがない私ですが、さすがに安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ」ぐらいは知っております(あと「バスケがしたいです」も聞いたことがある)。
「おっしゃるとおりです」としか言いようがないセリフですけど、近ごろ、この言葉を裏付ける研究(1)が出てちょっと面白かったです。
これはノースイースタン大学の論文で、「人生で最高の仕事は何歳のときに達成しやすいの?」って疑問について調べたもの。科学でも芸術の世界でも、一般的には「創造性は若いころのほうが高い!」と言われがちなんだけど、本当のところはどうなんだ、と。
もっとも大事なのは生産性
そのために、研究チームは1893年から現在までに活躍した2,887人の科学者をピックアップ。みんなが生涯で出版した論文の引用数を調べて、「人生で最高の仕事をいつしたか?」を分析していったんですね。
そこでどんな結果が出たかというと、
- 世に認められる仕事をするかどうかに、年齢は関係がない
- 最終的には「生産性」をキープできるかどうかが超大事
みたいな感じ。25才で凄い仕事をする人もいれば、60才で最高傑作を出す人もいて、その発生率は完全にランダムだったらしい。
結局はやり続けるしかない
が、いっぽうでは、年齢とともにダメになっていく人がいるのも間違いないところであります。その違いはどこにあるのかってことですが、ここでは以下の2つが重要視されております。
- 生産性=とにかく一定のペースで何かを生み出し続ける能力
- Qファクター=自分の仕事に必要なスキルの集まり。モチベーションや好奇心なんかもふくまれる
このうち、Qファクターは「才能」にも近い概念なんで、なかなか努力でどうこうするのは難しい感じ。実際、この研究でも、「人生の初期にQファクターが低い人は、その後に大きな仕事をする確率も低い」って傾向が出てますからねぇ。このあたりは「いくら努力をしても天才には勝てない!」ってデータと似たような話です。
となれば、自分の力でコントロールできそうなのは「生産性」だけ。とにかくコツコツと何かを作っていくしかないんだよーって結論になっちゃうわけですな。そういえば、アダム・グラントの「オリジナルズ」でも、「新しいことを成し遂げた人たちって、仕事量がやたらと多いんだよねー」ってデータが紹介されておりました。
あきらめたら創造性は終わる
で、研究者いわく、
要するに、「あきらめるな」ということだ。あきらめたら、そこであなたの創造性は終わる。
ってことで、まさしく安西先生っぽい結論になっております。
もちろん「若いころのほうが絶対に有利」ってジャンルも間違いなくあるんですが(数学とか詩作とか)、全体的には「ずーっと続けるしかない」って感じですな。どうぞよしなに。