結局、筋膜リリースって本当に効くの?
筋膜リリースってどこまで効くの?
筋膜リリースへのご質問をいただきました。
筋膜リリースについてどう思われますか? 最近学術的な評価がされてきたそうですが、効果はいかほどなのでしょうか。
とのこと。筋膜リリースは代替療法のひとつで、わりと昔から「肩こりや腰痛に効く!」とか「筋肉の性能がアップ!」とか「ダイエットに効く!」とか言われてる方法であります。
筋膜ってのは、ヒトの組織を覆ってるシートみたいなもんで、筋肉や血管なんかを守る働きをしております。鶏肉の皮と肉のあいだに、白くてうすーい皮がある思うんですけど、あれが筋膜。
実はもう40年ぐらいの歴史があるメソッドなんですけど、ご質問にもあるとおり、学術的な評価がされてきたのは最近の話。特にここ数年は、系統的レビューがチラホラ出てきまして、以前よりも効果がわかりやすくなってきております。
筋膜リリースの結果にはバラつきが多い
でもって、いまんとこ筋膜リリースの系統的レビューは、2013年と2015年に1件ずつ出ております(1,2)。それぞれ10件と19件のデータを精査してまして、現時点で筋膜リリースの効果を探るには最適かと。
では、まずは両者のポイントをざっくり引用します。まずは2013年。
筋膜リリースに関する実験データは、全体的に質のバラつきが大きく、その結果にも食い違いが多い。(中略)いくつかの実験では筋膜リリースで痛みがやわらいでいるが、まったく効果がなかったというデータもある。
とにかく結果がバラバラだから、まだハッキリと言える段階じゃないんだ、と。続いて2015年。
筋膜リリースの効果に関するデータは、実験デザインの質においても、実験の結果においてもバラつきがある。もっとも、それぞれの実験の質は大きく違うものの、近年になって行われたデータをみると、筋膜リリースの効果には可能性がある。
基本的な結論は同じながら、こちらのほうがやや希望の持てる結論になってますね。実際、ここで精査された19件のうち、
- 9件は「何もしないよりは筋膜リリースのほうがまし!」って結果
- 7件は「温熱療法みたいなのと組み合わせれば効くかも!」って結果
- 残りは「筋膜リリースと伝統療法(温熱とかマッサージとか)の効果は同じぐらい」って結果
になってまして、まぁプラシーボ以上の効果はあるんだろうなって感じです。
あんま筋膜リリースには期待しすぎないのがよさげ
とはいえ、痛みの原因ってのは複雑なので、筋膜リリースにそこまでの期待をかけないほうがよし。多くのデータをみても、そこまで劇的な効果が出てるわけでもないので。
つまり、いまのところの痛み対策としては、
- まずは病院に行って、筋肉や腱が損傷してないかちゃんと調べる
- 原因が不明の場合は、認知行動療法などで脳からアプローチをする
- 痛みが悪化しないように、ちゃんと必要な栄養素も摂る
- ついでに筋膜リリースなんかも組み合わせておく
ってあたりをまとめて実践したほうがいいんじゃないかと。なにせ「謎の腰痛や肩こり」ってのは病院に行ってもよくわからないケースが多いので、とにかくやれることは端からやってくしかない感じであります。
そんなわけで、筋膜リリースは「サポートのひとつ」ぐらいに考えとくとよさげ。具体的な実践法は、去年ぐらいに「ガッテン!」でやってたみたいなんで、こちらを参照ください。