エプソムソルトの風呂に入ると健康に!はどこまで正しいのか
エプソムソルトの入浴剤は体にいい?
こないだ「エプソムソルトは眉唾」って話を書いたら、「もうちょいくわしく!」みたいなご意見をいただいたので、ちょっと書いてみます。
軽く紹介すると、エプソムソルトってのは硫酸マグネシウムの一種です。もともとはイギリスのエプソムってとこで採れるミネラルウォーターを蒸発させて、硫酸マグネシウムだけ取り出したのが始まり。
エプソムソルトのまともな研究はほぼない
エプソムソルトは一般的に入浴剤として使われていて、美容界では「疲れが取れる!」とか「肌がスベスベに!」とか「痛みがやわらぐ!」とか、いろんな効用が言われるんですな。もはや美容の世界では定番アイテムのひとつと言えましょう。
ただ、結論から言っちゃうと、いまんとこエプソムソルトの効果について調べたまともな研究ってゼロなんですよ。いちおう現時点でのデータとしては、
- 19人の男女にエプソムソルト入りの風呂に12分ほど入ってもらったら、体内のマグネシウムレベルが増した(2015年,1)
- 妊婦とラットを対象にした実験では、エプソムソルトが皮膚を通じて体内に吸収されることが確認された(2002年,2)
ぐらいであります。うーん、少ない。
エプソムソルトが効くメカニズムも怪しい
さらには、どちらの実験も別に「エプソムソルトが体にいいの?」って問題をチェックしているわけではなく、たんに「エプソムソルトは肌から体内に入るかどうか」しか確かめてないのが困り者。 しかも、2002年の実験では、摂氏49〜50度ぐらいのお湯を使ってまして、もはや江戸っ子じゃないと耐えられないレベルだったりします(笑)
ただ、これらの実験も「本当にエプソムソルトが体内に入ってるの?」ってのは怪しくて、なんとも言えないところ。以前にも書いたとおりヒトの肌は大半の物質を通さないようにできてまして、いかにエプソムソルトとて浸透するとは思いづらいんですよね。
もちろん、マグネシウムイオンの分子って凄く小さいんで(24ダルトン)、美容の世界でいう500ダルトンルールは満たしてたりします(500ダルトン以下なら肌を通るんじゃね?って考え方)。ただし、 ヒトの肌のバリア機能ってハンパないんで、それでも通過するかは微妙なところなんですよね(3)。
まぁ、あくまで「いまは証拠がない」ってだけなんで、今後の研究では「やっぱエプソムソルト凄い!」って結論が出るかもですけど、とりあえず現時点では望み薄かと思われます。
いちおう、エプソムソルトを風呂に入れると、溶けた成分が水をなめらかにしてくれる可能性はあるんで、そのぶんだけリラックス効果はあるのかも。いまのところは、それぐらいの効果を期待しつつ使うのがいいんじゃないですかねぇ。