12週間のパレオダイエットで脳がブ厚くなったぞ!という実験
パレオダイエットで頭は良くなるか?
「パレオダイエットで脳機能が改善したよ!」っていう風変わりなデータ(1)が出てましたんでご紹介。いままでも、パレオダイエットで体重が減った!とか心疾患リスクが改善!みたいな研究はそこそこあったんですけど、脳との関係を調べたものは初めてかと思われます。
で、これはパレオダイエット研究に熱心なスウェーデンのウメオ大学によるもの。糖尿病に悩む24人の男女を対象にしてまして、BMIは25〜40ぐらいで、日ごろから運動をしてない人だけを選んだとのことです。
3か月のパレオダイエットで脳を調べた
実験では全体を2つのグループに分けまして、
- パレオダイエットだけで運動はしない
- パレオダイエット+エクササイズ
って感じで12週間後にどうなるかをチェックしたそうな。パレオダイエットの食事法さえすれば、運動しなくてもいい影響が出るんじゃないの?ってとこを調べたわけですね。
この実験が採用したパレオダイエットはシンプルで、
- 赤身肉、魚、卵、フルーツ、ベリー類、野菜、ナッツを食べる
- シリアル、乳製品、精製した油と砂糖、塩を控える
といったところ。もちろんカロリー制限は指示してないそうで、とても定番のやり方っすね。
いっぽうでエクササイズグループは何をしたのかというと、
- 最低でも1日に30分の軽いジョギングか早歩き
- 週3で1日1時間の有酸素運動と筋トレ(プロのトレーナー付き)
って感じ。いままで運動してなかった人にとっては、かなーり辛いプログラムじゃないでしょうか。
3か月で脳の灰白質の厚みがアップした!
で、この実験で何を計測したかというと、BMIや体脂肪、コレステロールといった定番の数値はもちろん、
- エピソード記憶(体験した出来事を覚えている能力)
- MRIで脳がどう変わったかをチェック
みたいなポイントも調べてたりします。糖尿病による脳の悪影響が、パレオダイエットで改善するかどうかが見どころと申せましょう。
そして結果がどうだったかというと、まずフィジカル面では、
- どちらのグループもだいたい同じぐらいBMIが減った(2ポイントぐらい)
- 体脂肪、中性脂肪、安静時インスリンなども両グループに差はなし
- 筋肉の減少量はパレオ+エクササイズグループの方が少なかった
みたいなところ。意外と12週間やっても筋肉量以外は差が出ないもんですね。
さらに脳にはどんな変化があったかというと、
- 認知のパフォーマンスはどちらも同じぐらい向上(+0.7 vs. +0.7)
- どっちも海馬(記憶をつかさどる脳のエリア)がボリュームアップ
- 後頭葉(視覚情報を処理する脳のエリア)も機能が改善!
- BDNFの量もアップ!(BDNFについては過去のエントリをどーぞ)
- ただし記憶力のパフォーマンス自体には変化がなし
って感じだったそうな。明らかに脳の構造が変わって、ついでに認知機能も良くなったみたい。その影響度はエクササイズには関係ないみたいなんで、これは運動嫌いには良い知らせですな(笑)
まとめ
研究者いわく、
ライフスタイルを変えれば、認知機能に関わる脳の神経のつながりを改善することができる。
とのこと。これだけ脳に変化が出たのにエピソード記憶が改善してないのが不思議ですが、このあたりは謎であります。糖尿病の脳ダメージを改善するには、やはりガッツリと体脂肪を落とす必要があるのかもしれませんが。
まー、この研究はサンプル数が小さいのが難点ですけど、パレオ式の食事法が脳にも良い可能性を示してくれたのは面白いとこっすね。糖尿病の方に限らず、「なんか頭が回らないなー」みたいな人は、とりあえず3か月ぐらい試してみちゃいかがでしょう。