「自分の言いたいことが言えない…」人は何が問題なのか?の科学
自分の意見をスパッと言えない問題について考える
こんなご質問をいただきました。
私自身は、もともと痩せている体質なのですが、パレオダイエットを実践することで本当に体調がよくなったことを実感しています。 本当にありがとうございます!
ところで、質問がありまして(中略)、自分の言いたいことが言えません。相手が間違っていても、注意したり、自分の意見を言うことができません。自分の意見が言えるようになるような、科学的な方法はありますか?
とのこと。思ってることをはっきり口に出せない問題ですねー。
何を隠そう私も自分の意見をスパッと言えないタイプなので、お悩みは非常によくわかります。いまも「あの時あれをいっとくべきだった!」と思うことがしばしば。
ってことで、何せ自分でも解決してない問題なので偉そうに言えないんですが(笑)、とりあえずこの問題について科学がどう考えてるか、みたいな話を紹介しておきます。
言いたいことをはっきり言える人と言えない人は何が違うの?
そこで非常に参考になるのが、ドイツで行われた2017年の実験(1)です。これは キール大学の研究で、「言いたいことをはっきり言える人と言えない人は何が違うの?」って問題について調べてくれてるんですな。
参加者は343人の女性で、平均年齢は33歳。まずは全員に3タイプの質問をしております。
- タイプ1.自己愛をチェックする質問:「私は自分のことを愛情深い人間だと思う」「セルフケアはとても大事だ」みたいな
- タイプ2.自信をチェックする質問:「自分ならなんでもできると思っている」みたいな
- タイプ3.自己尊敬をチェックする質問:「自分は他の人とまったく同じ権利を持っている」みたいな
その上で、みんなの「普段ちゃんと言いたいことを言えてるか?」ってレベルを調べて、上の3つの傾向と比較したんだそうな。よく「自信がないからはっきりと物事を言えないのだ!」とか言いますけど、具体的にどのようなタイプの自信が関係してるのかを調べたわけですね。
言いたいことをはっきり言える人は自己尊敬が高い
その結果、何がわかったかというと、
- 言いたいことをはっきり言う人は自己尊敬が高い!
だったんですな。普通の自信や自己愛も大事だけど、自己尊敬のスコアが頭一つ抜けてるんですよ。
ただし、ここで注意したいのは、この実験でいう「自尊心」はプライドとは違うってとこでしょう。自分の能力を高く評価しているような状態ではなくて、あくまで「自分はみんなと同じぐらい価値があるよ!」と自然に思えるメンタルを指しております。
たとえば、この研究で使われた「自己尊敬チェックテスト」を見てみると、
- 毎日、私は自分のことを公平な権利を持つ人間だとみなしている
- いつも自分のことを、他人と比べて同等の価値を持った人間だと思える
- すべての人類と同じく、私にも尊厳があると考えている
といった質問が並んでおります。いわば、無闇に自分に自信を持つわけではなく、かといって自分を下にも置かない状態っすね。
この研究では、さらに2つの実験もしていて、上で紹介したキャラクターの他にも、
- 自尊心(俺は自分に満足している!)
- セルフアクセプタンス(私は自分の性格を受け入れている!)
- 特権意識(俺は他人よりも価値がある!)
といった特性との比較を行っています。が、やはり結果は同じでして、自己尊敬のレベルが高い人ほど物事をハッキリ言える傾向があったそうな。言われてみれば、私も自己尊敬は割と低いような気がしております(笑)
まとめ
まぁ「自己尊敬」ってのはまだ研究例が少ないコンセプトなんで、効率の良い鍛え方があるのかどうかはよくわからないところ。しかし、私見では「セルフコンパッション」における「一般的な人間性」に近いところがあるんで、おそらく以下のトレーニング法が使えるはず。
ただし、「セルフコンパッション」を育てるのは時間がかかりますんで、とりあえず短期的な対策としてはアサーションの技術を参考にしていくといいんじゃないでしょうか。
代表的な本としては「アサーション入門」が定番で、英語にアレルギーがなければ「The Assertiveness Workbook」をおすすめしておきます。とりあえず、短期的にはアサーションでしのいで、長期的に自己尊敬の心を育んでいく感じでしょうねぇ。