ケトジェニックダイエットでも筋肉は増えるのか?問題
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ケトジェニックで筋肉は増えるのか問題
「ケトジェニックって筋肉は増えるんですか?」みたいなご質問をいただきましたんで、ちょっと考えてみます。まず前提として、ケトジェニックダイエットってのは、ギリギリまで炭水化物を減らすスーパー糖質制限みたいなものです。ごはんやパンなどの主食の量を削りまくると、肝臓で「ケトン体」って物質が作られて、こいつがブドウ糖の代わりにエネルギーになってくれるんですな。
といっても、近年では「ケトジェニックダイエットをしても脂肪が燃えやすい体にはならない」とか「ホルモンに悪影響?」みたいな見解もあって難しいところ。個人的には「まぁ体がケトジェニックに向いてる人なら試してみては?」ぐらいのスタンスでおります(イギリス栄養士会は否定してますが)。
ケトジェニックのほうが逆に筋肉は増える?
さて、そこでよく言われるのが「ケトジェニックって筋肉が増えないんじゃない?」って疑問です。というのも、筋トレみたいな高負荷の運動をする際には糖質が欠かせませんで、当然、筋肉の発達にも悪影響が出ちゃうのではないか、と。ところが、いっぽうでは「逆にケトジェニックで筋肉は増える!回復力も高まる!」みたいな意見もありまして、これまた難しいところ。いつもながら、糖質制限の話は極端に 振れやすいですねー。
では具体的に見ていきますと、まず多くの「ケトジェニックで逆に筋肉は増える!」派が持ち出すのが、2002年にコネチカット大学が行なった実験(1)でしょう、これは20人の男性を2つのグループに分けた研究で、
- ケトジェニックグループ:肉、チーズ、卵、ナッツ、プロテインパウダーがメイン。フルーツやパン、米はNG(糖質は総カロリーの8%)
- 普通の食事:1日約2000kcalをバランスよく食べる
って食事法を指導。これに筋トレや有酸素運動をくわえて、42日後にどうなってるかを調べたらしい。
その結果を簡単に言えば、
- ケトジェニックのほうが筋肉が2倍に増えていた!
だったんですね。これはケトジェニックファンが喜ぶのもわかりますなぁ。
ケトジェニックで筋肉は増えたのはタンパク質のせい?
が、データをよく見ると、この研究には問題があったりもします。というのも、ケトジェニックと普通食のグループでは、タンパク質の摂取量が2倍以上も違うんですよ。具体的に見ると、ケトジェニックが1日176gなのに対して普通食は80gぐらい。こんだけ差があると、筋肉が増えたのはタンパク質のおかげじゃないの?と思っちゃうわけです。つまり、このデータを見ても、ケトジェニックの実力はよくわからんのですよね。
ならば「タンパク質の量を同じにそろえたらどうなるの?」ってことで行われたのがフロリダの実験(2)。こちらは25人の男性を2つのグループにわけております。
- ケトジェニック(糖質5%)
- 欧米の一般食(糖質55%)
どちらもタンパク質は1日130gで固定。そのまま週1の筋トレを11週間ほど続けてもらったんだそうな。
その結果は、
- ケトジェニックのほうが筋肉が2倍に増えていた!
だったらしい。またも上と同じような結果が出ましたねー。こちらもケトジェニックファンには嬉しい話でしょう。
ケトジェニックで筋肉は増えたのは水分のせい?
が、これもデータをよく見ると”謎”があったりもします。というのも、ケトジェニックのグループは、実験の最終週だけは糖質をガッツリと増やしていて、その直後から一気に3キロも筋肉が増えたというんですね。つまり、筋肉が増えた理由の大半は、筋肉のグリコーゲンに水が補給されたからじゃないの?と考えることも可能なんですな。
実際、筋肉の発達レートを見てみますと、1〜10週までの数字はどちらのグループも変わんないのですよね。なにせ、この論文の作者自身が「全体の研究を通して、両グループとも同じぐらい筋肉が増えた」と書いてるほどでして。
まとめ
ってことで、これらのデータを見る限り言えるのは、- ケトジェニックでも普通に筋肉は増える……かも
- ただし、ケトジェニックの方が筋肉が増える!ってのは言い過ぎ
- 結局、プロテインは偉大
ぐらいのことじゃないかと思われます。やはり、ケトジェニックに関しては「お好きな方はどーぞ」ぐらいの印象ですかねぇ。