健康診断の「血糖」の数字がほんのちょっと悪いだけでも脳の機能が下がるぞ!という研究
糖の処理力が下がると頭が悪くなる
糖尿が万病のもとなのは言わずもがなですけど、新しい論文(1)では、「糖を処理する能力が少しでも衰えると頭が悪くなるよ!」って結論になっててなかなか怖いです。
これはロンドン大学などの研究で、約5000人を調べた観察研究になっております。これまでも「体が糖を処理できないと脳が働かなくなるんじゃない?」とは言われてたんですけど、サンプル数が過去最大級なのがすばらしいですねー。
少し糖の処理力が下がっただけでも脳機能は下がる
参加者の平均年齢は66歳で、糖尿気味の人から健康体まで様々。まずは調査の前に認知テストをやって脳の実行機能(なにかを決断したり分析する能力)をチェック。その後、2年おきに同じテストをして、8年にわたって脳の働きの変化を追跡したらしい。
と同時に、「ちゃんと体が糖質をコントロールできてるか?」はHbA1cの数値をみております。2〜3ヶ月前の血糖レベルを測る数字で、糖尿病チェックの定番っすね。
で、まずわかったことは、
- 糖尿でも糖尿予備軍でも、長期的には記憶力と脳の処理能力がガッツリ下がる
って感じです。ここでいう糖尿予備軍ってのは、HbA1cが5.7〜6.4%ぐらい。まだ糖尿病じゃないけど、ほっとくとヤバいレベルっすね。
ちなみに、この数字は、タバコ、アルコール、コレステロール、鬱病、高血圧などの要素を調整しても確認されたとのこと。糖のコントロールが脳に大事なのは疑いなさげですな。
研究チームいわく、
今回の研究は、認知機能の低下と糖尿病の関係を示しただけではない。それ以上に、血中のHbA1cレベルが認知機能の低下と線形相関があることがわかったのが大きい。この傾向は、糖尿病かどうかに関わらず現れるのだ。
とのこと。すごく簡単に言っちゃうと、まだ糖尿病とは診断されていない人でも、ちょっとでも体が糖を処理できなくなった時点から頭が悪くなってしまうんだ、と。知らないうちに糖の処理機能が壊れ始める人は意外と多いですから、こりゃ怖い話ですなぁ。
いまからでも改善に取り組むべし!
もっとも、このデータには良いニュースもありまして、
血糖値のコントロールだけでなく、何らかの対処を行えば、長期的な認知機能の低下は遅らせることができる。
とのこと。もし糖尿病と診断が下った場合でも、できるだけ早めにライフスタイルを変えれば、どうにか認知機能の低下は防げるかもしれないそうな。もし健康診断で血糖の項目が悪く出た方がいれば、どれだけ微妙な変化でも早めに手を打っておくと、のちのちまで脳をシャープに保てそうであります。
ちなみに、糖の処理力を改善する方法に王道はなくて、体脂肪が多い人はとりあえず減量が最優先。あとは地中海式やパレオダイエットのようにクリーンな食事法に切り替えるか、こまめに運動をするかしかないのが現状だったりします。
まぁ長期的に脳が死ぬよりはよほどマシですんで、早めの対処をぜひオススメする次第です。心当たりのある方は、とりあえず健康診断の血糖の項目をチェックしてみちゃいかがかと。