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たった50分のトレーニングで勉強の成果が向上する(かもしれない)ナイスな手法とは?

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マインドセットは大事だがトレーニングが大変という問題

このブログにはたびたび「マインドセット」の話が出てくるわけです。「マインドセットって何?」という方はとりあえず「報われやすい努力の仕方は存在する」をご参照いただければと思いますが、ざっくり言えば人間には2つの思考スタイルがあるよーって話でして、「自分の能力は努力で変えられる!」と思ってる人の方が、メンタルは健全だし仕事のパフォーマンスも上がるしで、とにかくいいことだらけらしいんですよ。

 

 

で、いかに「マインドセットを切り替えるか?」って問題については、「しなやかマインドセット」の育て方に書いた通り。とにかく正しいほめ方をしてあげて、子供に「やればできる感覚」を植え付けていくのが大事だよー、という。

 

 

ただし、これだとやっぱ時間がかかりますし、なにより大人になると自分をほめてくれる人も少なくなりますんで(笑)、自分でトレーニングするのはなかなか難しいんですよね。

 

 

が、近ごろ「50分のマインドセットトレーニングで学生の成績が上がったよ!」みたいな話(1)が出てきまして、なかなかいい感じでした。

 

 



 

 

マインドセットの動画を50分見ただけで……

これはキャロル・ドゥエックさん(マインドセットの生みの親)とかアンジェラ・ダックワースさん(グリットの生みの親)とか、一流どころの学者が23人集まって行った実験になっております。それだけに実験のデザインは過去のものより厳密で、かなり信頼がおけそうな感じなんですな。

 

 

参加者は14〜15歳の学生12,542人。まずは全体を2つに分けまして、

 

  1. マインドセットを解説する25分の動画を2回みる(1回目と2回目のあいだは20日間ほど開けたらしい)
  2. 脳の構造について解説した25分の動画を2回みる(同上)

 

って感じで動画を見せたみたい。具体的にどんな動画かはわからないんですけど、どうも「脳神経のつながりは後から変えられるんだよ!」みたいな事実を説明した内容だそうな。おそらく、ドゥエックさんがTEDで説明しているような内容に近いものと思われます。

 

 

マインドセットの動画を見たら期末テストの成績が上がった

さて、そこからしばらくして参加者には学期末のテストを受けてもらい、両グループの成績を比較したところ、

 

  • マインドセット動画を見たグループは、そうでないグループよりも、平均で0.03ポイントほど成績がよかった
  • マインドセットを得ようと頑張った生徒は平均で0.08ポイントほど成績がよかった
  • さらに、マインドセット動画を見たグループは、「落第点」を取る確率が3%ほど低くなった

 

って違いだったそうです。この数値だけ見ると「ショボくないか?」と思うかもですが、研究チームは「生徒たちは新たな軌道に乗ったのだ」って表現をしております。短期間ではそこまで大きな違いは出ないけど、いったんマインドセットが変わっちゃえば長期的にはすごいことになるかもよ?と推測してるわけですな。

 

 

そんなわけで、まだ長期的にはどこまでの影響があるかはわからないものの、たった50分の動画を見ただけでも、ハッキリと成績に差が出たのは良いことだよなーと思う次第です。こないだ出た「たった30分で鬱症状を33%も減らす凄い方法」なんかも似たような手法でメンタル改善の効果が見られたみたいですし、やっぱ脳の柔軟さについて勉強しといて損はないな、と。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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