カフェインで頭が良くなる理由、それは「ブレインエントロピー」説
いろんな成分があるなかで、わりといろんな結果を出してるのがカフェイン。運動のパフォーマンスが上がるかも?とか、集中力が上がるかも?とか、いろいろとおもしろい効果が確認されてたりします。
でもって、新しい論文(1)は「カフェインで脳の働きが良くなるんじゃないの?」みたいな話を。
これは華東師範大学の研究で、60人の健康な男女が対象。ざっくりどんな実験かというと、
- 200mgのカフェイン錠を飲んでもらう(コーヒー2杯分ぐらいですな)
- 何もしていない状態で脳をスキャンして神経の活動を調べる
って感じ。カフェインで脳の活動がどう変わるのかってとこをチェックしたわけっすね。
こんな調査をした理由は、カフェインによる「ブレインエントロピー」の変化を調べたかったからです。これは脳の働きを表すアイデアで、
- ブレインエントロピーが高いほど脳の活動が複雑で不規則なパターンを刻む!
みたいな意味です。これに対して、「ブレインエントロピーが低い」場合は、脳の活動が規則正しく働いている状態を指したりします。
というと規則正しいほうが良さそうにも思えるわけですが、脳の活動については不規則な方がメリットは大。脳が規則正しく働いてると急な外界の変化に対応できなくなるんで、逆に神経の柔軟性はなくなっちゃうんですな。規則が多すぎるお役所仕事は融通が利かないようなもんです。
つまり、極端にブレインエントロピーが低くなると、熟睡とか昏睡状態になってくようなイメージ。ほとんど脳が対応できないような感じになるわけですな。
事実、近年のデータ(2)でも、ブレインエントロピーが高い人は言語IQと推測力が高いよ!って結論になってたりとか。その意味でも、ブレインエントロピーはできるだけ高いに越したことはないんですね。
さて、ブレインスキャンで何がわかったかといいますと、
- カフェインで大脳皮質のブレインエントロピーが高くなった!(特に前頭前皮質とデフォルトモードネットワークと視覚野が)
- いっぽうでカフェインは脳の血流を下げる作用がみられた
みたいな感じ。つまり、カフェインで集中力がアップするのは脳の血の巡りが良くなるからじゃなくて、ブレインエントロピーが高くなったおかげなんだ、と。
研究者いわく、
安静時のブレインエントロピーが高くなったのは、脳の活動が不規則性と複雑さを増したことを意味している。これは、情報の処理能力が上がったことを示唆する。
とのこと。ちなみに、ここらへんの考え方はおもしろくて、他にもADHDの成人やコカイン中毒者はブレインエントロピーが下がってたり(3)、逆に統合失調症の患者さんはブレインエントロピーが高いなんて報告(4)もあるらしい。どうもブレインエントロピーが高けりゃいいってもんでもないんでしょうな。
そういえば、ちょっと前にも「200mgのカフェインで思考がグンと深くなるみたいよ」ってデータがあったんですけど、こちらもブレインエントロピーの高さが原因なのかもしれませんですな。どうも私はカフェインがいまいち合わないので実践はしづらいんですけど、強い方は1日200mgを飲んでみるのもありかもしれません。