自分のメンタルの状態が良いか悪いかを判断する超簡単な方法が開発される
世の中には自分の心の調子を計るためのテストがいろいろあるんですけど、近ごろ出たデータ(1)は、「自己採点だけでも意外と正確かも!」って結論になってておもしろいです。
これはリーハイ大学の実験で、「医療費支出パネル調査」っていうアメリカのリサーチデータを使ったもの。「うつ病」または「いつも心が落ち込んでる」と診断された男女2,547人を対象しております。
で、これがどんな調査だったかと言いますと、
- みんなに「いまの自分のメンタルって良いと思います?それとも悪いと思います?」と聞く
- それから1年後に全員の状態がどう変わったかを再チェックする
みたいな感じです。シンプルにメンタルの良し悪しの二択で自己採点してもらって、それがどれぐらい未来を予想できるかをチェックしたんですな。
その調査の結果は、
- 63%が「良い」と回答した
- 残りの37%は「悪い」と答えた
だったそうで、およそ6割は、どんなに症状が重くても「意外と心の調子は悪くない」と答えたみたい。結構ポジティブな人が多いもんなんですな。
でもって、そこからさらに1年後の結果は、
- 「良い」と答えた人は、「悪い」と答えた人よりも、30%ほどメンタルが悪化していなかった
- この傾向は、「良い」と答えた人が何らかの治療を受けていなかった場合でも確認された
だったらしい。自己採点で「おれの心の状態は良い」と思えれば、たとえ正規の治療を受けていなくても、将来のメンタルに良い影響が出るのではないか、と。なかなか面白い結果ですなぁ。
研究者いわく、
精神の状態をスクリーニングしたいときに、「メンタルの自己採点」は臨床でも使えるパワフルなツールになり得る。たとえ精神がへこんでいたとしても、メンタルヘルスをポジティブに自己採点していれば、その人がどれだけ症状を対処する能力があるかについて価値ある理解が得られる。
とのこと。もっとも、これは観察研究なんで、なぜ自己採点が正確なのかまではよくわかっておりません。ヒトは意外と自分のメンタルレベルを冷静に把握できるのかもしれないし、「自分のメンタルは良いのだ」という思いがプラシーボ効果として働いてるのかもしれないし。
いちおう、研究チームの推測はこんな感じです。
自己採点を行うと、一般的な診断基準よりも多くのデータを使うことになる。たとえば、もし患者の家族が協力的だったり、居住区のヘルスケアシステムが充実していれば、そのことも自己採点の判断材料になるだろう。病院の診断基準では、このような要素までは組み込むことができない。
自己診断のほうがパーソナルなデータをより多く組み込めるんで、実は精度が高くなるんじゃないか?って仮説ですね。ソーシャルサポートの大事さは昔から言われてることですし、これもかなりありそうな話っすね。
いずれにせよ、ここで大事なのは、あくまで直感に忠実になって「いまの自分のメンタルはいいか悪いか?」を判断してみることであります。当然ながら、むりやり「オレのメンタルは良いのだ!」と思い込んでも意味はないかと思われますので。自分のメンタルをおもんばかる一助にお使いください。