「低脂肪の乳製品 vs 脂肪たっぷり乳製品」体にいいのはどっちだ!みたいな対決の話
乳製品が体にいいのか悪いのか?って問題についてはまだ諸説あるわけです。
ただ多くのデータで出てるのが、「乳製品を食べるんならフルファットのものが良さそうだよ!」みたいな話。低脂肪乳とかローファットチーズを選ぶなら、ちゃんと飽和脂肪をとりのぞいてないものを食べたほうが健康に良いのではないか、と。
パッと見の印象だと低脂肪なほうがよさげな気もしちゃいますが、どうも乳製品については脂肪が入ったもののほうがよさげなんですな。ってことで、新しいデータ(1)では、そこらへんの問題をがっつり調べてくれておりました。
これはユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの実験で、203人の肥満ぎみな男女を3グループに分けております。
- フルファットのチェダーチーズを120g食べる
- 低脂肪のチェダーチーズを120g+21gのバターを食べる
- 49gのバター+30gのカゼイン+カルシウムサプリをとる
ちょっと何をやってるかが分かりづらいかもしれませんが、
- グループ1は、脂肪が入った普通のチーズを食べる
- グループ2は、脂肪を除いたチーズの代わりに、バターで飽和脂肪を補う
- グループ3は、バターの飽和脂肪とプロテインパウダーやサプリを組み合わせて、普通のチーズの栄養バランスに近づける
みたいな感じです。どのグループも摂取カロリーは480-520 kcal にそろえていて、三大栄養素のバランスとカルシウムの量もほぼ同じなんだけど、それぞれに違いは出るのかを調べたわけっすね。とくにグループ1とグループ3は「自然に近い食品 vs サプリ」の代理戦争みたいになってておもしろいですね。
実験期間は6週間で、LDLコレステロールや中性脂肪、体の炎症レベルなどをチェック。その結果がどうだったかと言いますと、
- フルファットのチーズを食べたグループはLDLコレステロールが13%減少
- 低脂肪チーズグループは-7%で、サプリグループは-3.9%だった
- その他のチェックポイント(炎症やインスリンなど)には有意差がなかった
って感じでして、予想どおりフルファットがもっとも良い成績を出してますね。
なんで普通のチーズのほうが脂質代謝が良いのかは不明なんですけど、実験中に参加者が記録した食事日記を見てますと、
- フルファットのチーズを食べたグループは、1日の総摂取カロリーが自然と減ってる
って傾向があったりします。なので、バターやプロテインパウダーよりも加工レベルが低い脂肪やタンパク質のほうが食欲を抑制してくれるのかなー、といった気もするわけです。
ただ、この研究はメカニズムを調べたものじゃないし、基本的に食事日記ってあてにならないんで、ここらへんは謎。個人的には、MFGMの効果による可能性もありそうには思いますが、もうちょい今後の研究を待ちたいところではあります。
いずれにせよ、過去の研究でも「加工のレベルが少ない食事の方が脂質代謝って改善しやすくない?」って結果も出てますんで、困ったらなるべく精製していない食品を選ぶほうが吉かと思われますね。どうぞよしなに。