食物繊維のメリットを引き出すには最低で1日どれぐらいとればいいのか?問題
食物繊維は体に良い!ってのは当たり前で、
みたいな話を紹介してきたわけです。細かい数字の変動はあれど、食物繊維のすばらしさがゆらぐことはなさそうであります。
で、新しい論文(1)は、「食物繊維のベストな摂取量とは?」ってところをガッツリ調べてくれてていい感じでした。
これはオタゴ大学などの研究で、およそ40年におよぶ過去データを使って「慢性病の発症率が下がる食物繊維の量は?」って問題を調べたんですよ。慢性病ってのは、
- 心臓系の病気
- 脳卒中
- 糖尿病
- 大腸がん
- その他、肥満が原因で起きるがん(乳がん、前立腺がん、食道がんとか)
といったあたりを意味しております。どれも人生の質が大きく下がる難しい症状ですが、食物繊維でかなりリスクが下がることがわかってるんですよ。
この研究では、185の観察研究と58のRCTを分析してまして、このタイプの分析としては過去最大級。食物繊維ラバーな私としてはたまらないわけです(笑)
では、その結論から申し上げますと、
- たくさん食物繊維をとる人は、とらない人にくらべて早期死亡率が15〜35%下がる
- 食物繊維が豊富な食材を食べる人は、そうでない人にくらべて心疾患、脳卒中、糖尿病、大腸がんのリスクが16〜24%下がる
だったそうで、あらためて食物繊維のすごさを示す内容になっております。ちなみに、ここでいう「食物繊維が豊富な食材」ってのは、
- 全粒粉
- 野菜
- フルーツ
- 豆類
みたいな感じ。まぁ定番ですよね。
それでは、上記のメリットを得るためにどれだけの食物繊維をとればいいかと言うと、
- 1日25〜29gの食物繊維が最低ライン!
だそうです。日本人はいま1日15gの食物繊維量しかとってないんで、おおよそ倍の量を食べなきゃいけないわけっすね。なかなか大変。
さらに、もうちょい他の結論としては、
- 1日29g以上をとると、さらなる健康メリットが得られる可能性はある(でも、大量の食物繊維を使ったデータがないのでハッキリ言えない)
ってな傾向も出ております。確かに、狩猟採取民は1日42.5gの食物繊維をとってるってデータもあるんで、個人的にも可能性はあるのかなーとか思いました。ただし、いきなり水溶性食物繊維を増やしすぎると間違いなく下痢になるんで、少量ずつ量を上げていくのがオススメですが。
もっとも、この論文には注意点も出てまして、
- 大量の全粒粉をとりすぎると、鉄分が足りなくなる可能性もあるよ!
ってあたりが強調されておりました。当ブログではおなじみ「抗栄養素」問題っすな。
そんなわけで「やっぱり食物繊維はアンチエイジングに欠かせないなー」って感想でして、
- 野菜を増やすのを基本にしつつ、サプリなどで1日30gぐらいを目指す
- でも一気に増やすと腹がびっくりするんで少しずつ試して自分の上限をチェックしてね
ぐらいの話になりましょう。食物繊維の上限がどこにあるかはまだよくわからんので、そこらへんは自分の体で実験してみる感じでお願いしまーす。