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EQってどれぐらい使いモノになるの?そして、後から鍛えられるの?みたいな話

 

EQってどれぐらい使えるの?問題

ひさびさにEQの話です。ご存じ「心の知能指数」と呼ばれる考え方で、この数値が高い人ほど自分の感情をコントロールする能力が高め。過去には「EQが高いと年収も高い!」なんて話もありまして、なかなかおもしろい指標なんですな。

 

 

もっとも、一方でアダム・グラントさんなんかは「EQは過大評価されすぎでしょう」とも言ってまして、そのへんの判断は難しいところではあります。どこまでEQが使いものになるか?ってところは、もうちょい研究が必要だろうなーって感じ。

 

 

ちなみに、いちおう現時点での個人的な見解も書いておくと、

 

  • 確かにEQはいろんな予測に役立つけど、正直ビッグファイブの方が信頼できるし手軽じゃない?

 

ぐらいに思っております。

 

 

というのも、過去のメタ分析(R)などを参考にしますと、EQが高い人ってのは、ビッグファイブで言う開放性・誠実性・外向性・協調性・感情の安定性も高い傾向があるんですよね。これを考えると、どうにも古い酒を新しい革袋に入れたような状態と言いますか、あらためてEQを使う必要があるのか?とも思うわけです。これはグリットにも言えることですが。

 

 

もちろんこれはEQを否定してるわけじゃなくて、自分の感情をコントロールする能力の重要さに変わりはないのでご注意ください。あくまで指標としての有効性の問題であります。

 

 

 

EQって後天的に伸ばせるの?問題

さて、前置きが長くなりましたけど、新しいデータ(R)は「EQって後天的に伸ばせるの?」ってテーマを深掘りしてくれてておもしろかったです。

 

 

上にも書いたとおり、EQはパーソナリティとオーバーラップした概念なんで、おそらく半分は遺伝で決まっちゃうのだろうと予測できるわけです。そう考えると、あとからのトレーニングで伸ばすのはちょい難しそうな気もしてくるわけですが、そこらへんはどうなんだ、と。

 

 

これは先行研究から58件をまとめたメタ分析になってまして、わりと信頼性は高め。まずは結論からいきなり抜き出しますと、

 

  • EQのトレーニングをすると、ちゃんと能力を伸ばすことができる!(d = 0.45)

 

って感じです。適正な訓練をすれば、あとからでもEQは伸ばせるみたいですねー。すばらしい。

 

 

こうなると、「具体的にどうすればEQをアップできるの?」と思っちゃうわけですが、残念ながらこのデータから判断するのはほぼ不可能だったりします。なにせ先行研究はどれもメソッドが違いすぎまして、一貫した結論を出すのが難しいんですよ。

 

 

とりあえず、現時点で言えそうなことを書いとくと、

 

  • トレーナーは、トレーニングを受ける人よりもEQが高くないと厳しい
  • EQのトレーニングは、いろんな実践法(他人の感情反応にマインドフルになろう!みたいな)を実践してみて、そこにトレーナーから正しいフィードバックをもらわないと効果が出にくい

 

みたいなところがありまして、どうにも「ある程度の独学はできるけど、良いトレーナーの存在が不可欠かも?」って気もしてくるわけです。

 

 

まぁEQの伸ばし方についてはまだよくわからない面が多いんですが、今回のデータで「後天的にも能力を伸ばせるよ!」って結論が出たのははげみになるんじゃないでしょうか。個人的には、過去にこのブログで紹介してきた感情コントロール法を学ぶだけでも違うんじゃないかと推測してますけど。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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