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細かいことが覚えられない!タイプの「もの忘れ」が実は素晴らしいことである3つの理由

 

我ながら物忘れが多いなぁ……」とはよく感じることで、最近は(というか昔から)自分のブログに書いたことも覚えてないんで、

  1. 会話中に相手が「おっ」と思うような情報を話す
  2. 「それおもしろいすね!」と興奮するわたくし
  3. 「いまのパレオな男に書いてあったやつですよ」と笑われる

みたいなことがよくあります。すべてのエントリを覚えてるのは不可能とはいえ、ほんの2〜3日前に書いたことも覚えてなかったりするんで、そのたびに虚無感にさいなまれたりとか(笑)


が、近ごろチェックした論文(R)は、「もの忘れはええことなんやで!」って結論になってて一安心といいますか。


これはカナダ先端研究機構のレビュー論文でして、過去に出た「記憶と忘却」に関するデータをまとめて大きな結論を出した内容になっております。そこで浮かび上がった最初のポイントは、

  • 記憶に関係する脳細胞は、実は積極的に情報を捨て去ろうと頑張っている!

ってことですね。近年の脳研究を見てると、どうやら新しいニューロンの成長には、もの忘れをガンガンに促進する働きがあるみたいんすよ。


研究チームいわく、

あなたの脳に新たなニューロンが加わると、そのニューロンは効果的に過去の記憶を上書きし、消し去っていく。

とのこと。つまり「もの忘れ」ってのは、たんに脳が衰えたサインってわけでなく、新たな細胞が増えたしるしかもしんないわけですな。心強いですねぇ。


でもって、ここでもっとも重要なポイントとしては、

  • もの忘れが多いほど正確な意思決定がしやすくなる!

ってのもナイスなところですね。どういうことかというと、


脳が細かいことを忘れるのは大事なことだ。この機能があるおかげで、現実世界で良い決断をするのに役立つ情報だけに集中できる。

さっき車をどこに停めたかは覚えておきたいが、この記憶を数週間後も持ち続けたいとは思わないだろう。


みたいになっていて、要はものごと忘れた方が不要な細部にとらわれなくなるため、その分だけスピーディに正しい決定ができるんだってことですね。もの忘れは脳の断捨離なんだ!みたいな話ですな。


さらに、もうひとつ重要な知見としては、

  • いったん忘れたことを再び学ぶと、そこから得るものはさらに深くなる!

なんてのも、ちょっと良いポイントかと思います。こちらのメカニズムはと言いますと、

もし記憶がいつまでも鮮明だったら、概念的な構造を見逃してしまうだろう。

と説明されております。あんまりにも細かいとこばっか覚えてたら、ものごとを抽象化して記憶できないんで、そのぶんだけ本質をつかみにくくなってしまうよ!ということっすね。


例えば、パレオダイエットとか地中海式ダイエットとか世の中にはいろんな食事法がありますけど、「パレオでは乳製品がー」とか「地中海式はワインを1日に2杯で…」みたいに細部ばかりにこだわってたら、「どちらもカロリーの質を強調してる点は同じ!」っていう大事なポイントは見過ごしやすいでしょうからね。その点で、細かいことを忘れると理解が深くなるってのはよくわかるわけです。


そんなわけで個人的には救われた気持ちになりましたけど、もしかしたら脳の衰えが進み始めただけなので、やはり予断は許さんのですが(笑)

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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