今週の小ネタ:友人で痴呆症リスク低下、練習シーン撮影でパフォーマンス増加、異性の外見はほめるべきか?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
友人は脳をボケさせないためにも大事
「健康に生きるためには友人が必要だよー」と「最高の体調」に書いたわけですが、今度は「友人は脳をボケさせないためにも大事!」ってデータ(R)が出ておりました。
これはロンドン大学のリサーチで、ホワイトホール2っていう有名なデータセットを使ってます。具体的には10,228人の男女を1985年〜2013年にかけて追跡調査しまして、
- 日ごろからどれぐらい友達や親戚と遊んでいるか?
- 痴呆症の発症率はどれぐらいか?
ってポイントをチェック。すべてのデータをひっくるめたところ、こんな結果が出たそうな。
- 60代の時点で毎日のように友達と遊んでいる人は、友達と月に1〜2回しか遊ばない人と比べて、痴呆症の発症リスクが12%ほど低くなる!
ってことで、そこそこの違いが出てました。研究チームいわく、
今回の研究で、中年期や高齢期における社会的な接触が、認知症のリスクを下げる事実があきらかになった。この発見は、痴呆症リスクを下げる方法として誰にでも使えるし、孤独や孤立を避けるべき新たな理由も示唆している。
とのこと。もちろん、これだけだと正確な因果関係はわからないものの、いちおう以下のようなメカニズムが推定されております。
社会的なコミュニケーションが多い人は、それだけでも記憶や言語能力といった認知機能を鍛えることができる。おかげで認知機能が低下せずに済み、痴呆の発生を遅らせることができるのだろう。
さらに、もちろん友人と過ごす時間は幸福度を上げるし、身体的な活動のレベルも上げてくれる。どちらも痴呆リスクを減らす重要なポイントだ。
友人と遊ぶのは人間にとって脳トレの一種なんだってことですね。非常にあり得る話だと思いますんで、やはり頭をシャープに保つためにも人間関係は大事にしとかんとですなぁ。
練習シーンを撮影するとパフォーマンスが上がる
続いては、メルボルン大学の実験(R)で、「プレッシャーを使ってパフォーマンスを上げる方法」について調べてくれております。具体的には、まず72人のピアノ初心者を集めて2つのグループに分類したそうな。
- 普通に練習する
- ビデオカメラで撮影されながら練習する
でもって、その後で人前で演奏をしてもらったところ、ビデオカメラで撮影されながら練習したグループは、本番のプレッシャーに強い傾向があったらしい。
なんでも、「撮影される」って状況のせいで、脳が勝手に「これは本番に近いのだ!」と思いこみ、普通に練習するよりもプレッシャーに慣れたのが原因みたい。そのおかげでワーキングメモリに余裕ができて、パフォーマンスが上がったんだとか。
ちなみに、「練習を撮影すると本番に強くなる」って傾向は過去にも確認されてまして(R)、なかなか精度の高い話だと思われます。私もスマホで撮影しながらテコンドーの練習をしてみるか……。
パートナーの外見を褒めて良いケースと悪いケース
最後は南メソジスト大学の研究(R)で、「男女カップルは相手の外見をほめるべきか?」って問題について調べてくれております。研究チームは、217人のカップルに聞き取り調査を行いまして、「相手の身体的な特徴をほめたら2人の幸福度は上がるか?」ってポイントをチェックしたんだそうな。
その結果、どんな傾向が確認されたかと言いますと、
- 付き合い始めてから16ヶ月以上が過ぎており、相手が「この人は私の性格などもちゃんと認めてくれている」と思っているときは、外見をほめることで幸福度が上がる
- 2人が知り合ったばかりで、互いの情報がない状態で相手の外見をほめると、好感度と幸福度が低下する
だったそうで、まぁ納得の結果じゃないでしょうか。やっぱ気ごころが知れてないうちに外見をほめちゃマズいわけっすね。そう考えると、初対面の女性の外見をほめるのは悪手なんでしょうなぁ。