どんな人でも「外向的なキャラ」を演じれば幸せになれるかも?みたいなカリフォルニア大学実験の話
「ヒトの性格はそう簡単には変わらない!ならば、行動を変えればいいのだ!」というのが、ハーバード大学のブライアン・リトル博士の主張。人間のキャラは遺伝子でかなり決まっており、こればかりは抗ってもしかたがないので、自分が望むパーソナリティに沿ったような行動を取るのが大事だよーって話です。
で、そこでよく言われるのが、「内向的な人は外向的なキャラを演じろ!」みたいなアドバイスです。
というのも、現代社会ではどうしても外向的で社交が得意な人のほうが有利なんで、私のように内向性が高い人は幸福度が下がりなんですよ。そこで、内向きな人は外向的なフリを演じたほうがいいのではないか?って考え方です。
このアドバイスが正しいかは今も賛否あるんですけど、新しいデータ(R)では「効果があるよ!」って結論になっておりました。
これは「人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法」で有名なリュボミアスキー博士の研究で、131人の男女にこんな指示をあたえてます。
- 最初の1週間は「外向的に行動してみてくださいねー」と指示
- 続くもう1週間は「内向的に行動してみてくださいねー」と指示
「外向的な行動」がどんなものかと言いますと、
- たくさん話す
- 自分が言いたいことをハッキリ伝える
- 自発的に話しかける
みたいなことです。私のように内向的な人間にはいかにも辛い内容になってますね(笑)
一方で「内向的な行動」ってのはどんな感じかと言いますと、
- つねに慎重に話をする
- 物静かに行動する
- つねにひかえめに行動する
みたいになってます。さらに、積極的に外向的/内向的な行動を取ってもらうために、追加で以下のような指示も出たそうな。
- 特定のキャラに沿った行動をするにあたり、「具体的にどんな活動をするつもりか?」を毎日5つ書き出す
- 書き出した活動は、自分のスマホに定期的なリマインダーを送る
急に「性格に合わない行動をせよ!」と言われても困っちゃうんで、当然これぐらいの対策を立てておかないとうまくいかないでしょうな。
でもって、参加者がどのような感情の変化を体験したかを2週間のいろんな時点で計測したところ、こんな結果になりました。
- 外向的に行動をした週は、大半の参加者がベースラインよりもよりポジティブな感情を体験した
- 内向的に行動をした週は、大半の参加者はポジティブな感情の量が減った
- もとの性格が外向的でも内向的でも、外向的な行動をすることでポジティブな感情は増大した
ということで、もともとの気質が内向的な人だったとしても、あえて外向的に振る舞うことで幸福度が上がり、フロー状態に入る確率も高くなったんだそうな。
ただし、これで「みんな外向的な行動を取ろうぜ!」って話になるわけじゃなくて、2018年に行われた実験なんかでは、「生まれつき内向レベルが高い人は、外向的なフリをすると後で疲れまくる」って傾向も確認されてるんで注意が必要でしょう。
さらに過去には「私生活で素と違うキャラを演じ続けると、自律神経のバランスが崩れる」なんて報告もありましたからねぇ。今回の実験で「どんな人でも外向を演じれば幸せになれる」みたいな結果が出た理由はちょっと謎です。また、この実験だけだと、果たして「たくさん話したから気分が良くなったのか?」や「自分の主張を伝えられたのが良かったのか?」といったあたりも不明ではあります。
そんなわけで、まだまだ「外向のフリをすると幸せになれるか?」問題についてはよくわからない面が多いんですが、私と同じ内向的な皆さまにおかれましては、今回の実験で使われた手法を1週間ぐらい試して様子をみてみてはいかが?とか思うしだいです。