運動で頭を良くしたいなら毎日なにかしら体を動かそうぜ!というアイオワ大学実験の話
「運動で頭が良くなる!」って話は死ぬほど書いていて、もはや目新しい知見などないのではにか?ぐらいに思ってたんですが、アイオワ大学から新しく出てたデータ(R)は、ちょっと面白いものがありました。
これは60〜80歳の高齢者34人を対象にした実験で、まずはいきなり結論から言っちゃうと、
- 1回のエクササイズによる脳力アップの効果は、3カ月ずーっとエクササイズを続けた時の効果と変わらない!
って感じになります。「ええ〜っ!」と思われた方もいるかもですが、具体的にどういうことなのかを見てみましょう〜。
では、この実験が具体的にどんなデザインだったかと言いますと、
- すべての参加者に、12週間の有酸素運動プログラムに参加してもらう
- 有酸素運動の内容は、1回50分のエアロバイクを週に3回のペースで行うというもの
- エクササイズの負荷は「軽め」と「重め」の2パターンに分け、それぞれを参加者の半分ずつが行う
みたいになってます。そのうえで全員にはfMRIで脳をスキャンしまして、さらにはPC状で神経衰弱っぽいテストを行ってワーキングメモリ(短期的な記憶)の能力も計測したんだそうな。
さて、これで何がわかったかと言いますと、
- 20分の軽いエクササイズの後で得られるワーキングメモリの改善度は、3カ月エクササイズを続けたあとのワーキングメモリの改善度と同じ
って事実だったんですね。ここでいう「軽いエクササイズ」ってのはウォーキングぐらいの負荷でして、20分ほど歩くだけでも脳の機能はかなーりアップするみたい。
と言っても、本論の結果は「それならエクササイズなんて続けなくてもいいや!」って話ではなく、この研究から得られる教訓は、
- 運動による脳力アップ効果は、終わってすぐに現れる(しかも、それはウォーキング程度でいい)
- ただし、運動で頭を良くし続けるためには、毎日なにかしら体を動かさねばならない
ってことになりましょう。運動はすぐに頭を良くしてくれるけど、その代わり、毎日やらないと効果が続かないんだよーってことです。
研究チームいわく、
運動の効果は1日単位で考えねばならない。身体活動による認知の改善とは、「今日は体を動かしたからメリットが得られる」といった性質を持つものなのだ。
つまり、脳のパフォーマンスを高めるために、マラソンのような考え方をする必要はない。日々体を動かせば、メリットは得られるのだ。
とのこと。運動による脳力アップは日々のトレーニングで鍛えていくというよりは、その日その日の活動量で決まるんじゃないか?って考え方ですね。
まぁこれは3カ月ぐらいの研究なんで、もう少し長期になれば脳のベースライン自体が上がりそうな気もしますけど、とりあえず現時点では「毎日ちょっとでも体を動かす!」と考えておいたほうが良いのかもですな。
毎日やるのはめんどうだな……とか思った方もいるかもですが、研究チームいわく、
運動のメリットは、多くの人が考えるよりもすぐに得ることができる。
ってあたりはいい話ではないかと。「なんか頭が回らないな……」と考えたら20分ぐらい体を動かすのもいいんじゃないでしょうか。