関節炎が悪化するから運動はしちゃダメ!はどこまで正しいのかのメタ分析
「関節が痛い時は運動をするな!」って考え方があるわけです。どういうことかと言いますと、
- 関節の痛みは節々に炎症が起きている状態である
- エクササイズは一時的に体内の炎症を促進する
- つまり、エクササイズは関節炎を悪化させる!
みたいな流れになってます。運動は逆に痛みを悪化させちゃうから、逆効果なんだよーってことですね。
では、この考え方はどこまで正しいの?ってことで、「関節炎に運動はアリかナシか」をガッツリ調べてくれた論文(R)が出ておりました。
これは南デンマーク大学などの研究で、過去の関節炎研究から信頼度が高めな21件をまとめたメタ分析になってます。アメリカ、中国、ブラジル、スウェーデンなどから幅広く参加者を集めていて、全体のサンプル数は約2000人。かなり精度が高い内容になっててよろしいのではないでしょうか。
各データのうちわけをざっくりまとめると、
- 実験期間は4〜48週間
- 運動の頻度は週に1回から5回まで
- 有酸素運動のほか、筋トレの効果も調べている
といったところです。そのうえで、それぞれの運動が軟骨の厚みや体内の炎症レベルにどう影響するのかを見てくれてます。
で、その結論は非常に明快でして、
- どんなエクササイズだろうが軟骨は減らないし、関節の炎症も悪化しない!
だったそうです。どうやら「運動で関節炎が悪化!」ってのは完全な間違いと言ってよさげ。
研究チームいわく、
骨関節炎の人は、運動について心配しなくていい。運動は関節炎に対して確実に安全だ。それどころか、逆に軟骨の状態を改善する働きすらある。
関節炎だからといって運動を避けている人は、安心して身体活動のレベルを増やすべきだ。慣れないうちは、運動により一時的に痛みが増すことはあるかもしれないが、時間が経つごとに消えていくだろう。
とのこと。かなり確信に満ちた論調になってまして、それだけ結果に自信があるってことなんでしょうな。
といっても、「運動は関節炎にいい!」って話は過去にも出てまして、2014年のメタ分析(R)なんかでも、
- ウォーキング、スイミング、筋トレ(マシンでも自重でもOK)、ダンスのような運動は、すべて関節炎をやわらげる!
って結論になってたりします。そのほかのデータ(R)でも、「マラソンをやってる人は運動不足の人よりも有意に関節炎の発症率が低い」って傾向も確認されてますしね。
というわけで、関節炎にお悩みの方は、どんな運動でもいいからやっていただければと思います。週5のレベルで運動しても何の問題もないし、逆に長期的には痛みを下げてくれますんで。
ただし、上のデータを見てますと、唯一、
- ジャンプが多い運動はちょっとキツいかも!
って傾向も出てますんで、こちらだけご注意ください。ボックスジャンプとかプライオメトリクスのようにピョンピョン飛び跳ねる運動は、さすがに耐えらえないレベルの痛みを生み出しちゃう可能性があるもんで。普通のランニングか水泳ぐらいにしとくのが無難かもしれません。