ネガティブな感情の処理がうまくなり、セルフコントロール能力も上がるナイステク「感情の擬人化」
「超ストレス解消法」では「インサイド・ヘッド」って映画を見ることをオススメしております。この映画、なにせ人間の感情の働きをうまく可視化してくれてるんで、自分の心の動きを客観的に見つめるのに役立つんですよ。というか映画そのものが傑作なんで、感情レギュレーションの目的以外にもぜひご視聴いただきたいところです。
で、新しいデータ(R)は、この「インサイド・ヘッド」から着想を得た内容になってておもしろいんですよ。論文は4つの実験で構成されていて、だいたいどんなデザインかと言いますと、
- すべての被験者に「過去にあった悲しい体験」を思い出してもらう(異性にフラれたとかペットが死んだとか)
- 全体を2つのグループに分けて、ひとつのグループには、悲しい体験を普通に描写してもらう
- もうひとつのグループには悲しみを擬人化してイメージしてもらい、その悲しみがどのような人物なのかを描写してもらう
みたいになってます。「インサイド・ヘッド」が、ネガティブな感情をカナシミってキャラで表現したように、辛い気持ちを特定の人物として表してもらったわけですね。この実験では、たいていの人は「悲しみ」を2パターンの人間として描写したそうで、
- 白髪で落ち込んだ感じの老人
- 下を見ながらトボトボ歩く小さい女の子
といったイメージを採用する人が多かったとのこと。こういうときには、若い男性を選ぶケースは少ないんですねぇ。
その後、みんなに悲しみのレベルを尋ねたところ、結果は予想どおりで「悲しみを擬人化したグループは悲しみのレベルが大きく下がった!」って感じだったそうな(普通に悲しみを記録したグループもちょっとは下がった)。
続いて別の調査では、「幸福感」についても似たようなデザインで実験を行なってまして、ここでもやはり結果は同じ。「幸福感」を擬人化したグループは全体的に喜びの感覚が下がってしまったんだそうな。ポジティブな感情は擬人化しちゃいけないってことですね。
さらにこの実験でナイスなのは、「ネガティブな感情を擬人化するとセルフコントロール能力が上がる!」って結果も出てるとこでしょう。悲しみを擬人化して切り離した人は、その後で「ケーキとサラダのどっちを食べますか?」と尋ねたところサラダを選ぶ確率がはね上がったんだそうな。おもしろいもんですなぁ。
研究チームいわく、
感情を人間として考えてみた被験者は、より悲しみの感情から自分を切り離して見ることができた。悲しみの擬人化は、感情を制御するための新しい方法だと考えられる。
このようなマインドセットを起動させることにより、私たちはもっと気分良く過ごせるし、長期的なメリットのない誘惑にも打ち勝つことができる。
とのこと。ネガティブな気持ちに負けそうんな人はもちろん、セルフコントロール能力にお悩みの方にも「感情の擬人化」は使えるテクニックなんじゃないでしょうか。これは個人的にもよくやってる手法ですが、本当によく効きますのでお試しあれー。