思い込みだけでどこまで運動のパフォーマンスは上がるのか?というメタ分析
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「思い込みでどこまで運動の能力は上がるのか?」って疑問について調べたおもしろいデータ(R)が出ておりました。プラシーボ効果のすごさは有名ですけども、果たしてこれで運動のパフォーマンスは上がるの?という問題ですね。
というわけで研究チームは過去のデータから「プラシーボと運動」について調べたものだけを集めて、質の高い論文だけをチョイス。最終的に32件のデータでメタ分析を行ってくれております。これは参考になりますねー。
いちおうデータの内訳も書いておきますと、
- 20件は栄養系のプラシーボについて調べている(カフェインとかビタミン系サプリとか)
- 12件は機械系のプラシーボについて調べている(「この着圧ウェアはすごいんですよ!(ウソだけど)」「これは超高機能シューズなんですよ!(ウソだけど)」」みたいな)
- 5件はノセボ効果についても調べている(「このサプリは筋力が上がりますよ!でも偽サプリなんですけどね!」みたいに事実をバラした場合の効果も調べてる)
といった感じになってます。偽のサプリや運動ガジェットでどこまでパフォーマンスが上昇するのかを調べてくれたわけですね。
では、分析の結果を、プラシーボの効果が低かった順に並べてみましょうー。
- 「これはまだだれも知らない最新のスポーツサプリなんですよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.21
- 「このビタミンが効きますよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.35
- 「このアミノ酸が効きますよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.36
- ノセボ効果 d = 0.37(ただしこれはデータ数が少ないので怪しい)
- 「このカフェインが効きますよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.40
- 「この高機能シューズはすごいですよー」というタイプのプラシーボ d = 0.47
- 「このEPOはすごいですよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.81(EPOはプロスポーツの世界では使用禁止のドーピング剤)
- 「このTENSはすごいですよ!」というタイプのプラシーボ d = 0.86(TENSは機械的なガジェットを使う電気療法の一種)
という感じになってまして、全体的な感じを見てますと、
- 本人がよく知っているもののほうが効果がある
- 体内に入れるよりも物質のほうが効果がある
- 大がかりなガジェットほど効果がある
- 世間的に「ヤバい!」と思われているものほど効果がある
みたいな傾向がありそうですね。特にEPOとTENSの効果量にはビビりました。
ちなみに、このデータでおもしろかったのは、
- カフェインのパフォーマンスアップ効果は、3分の2がプラシーボ効果で説明できる
って結果も出てることですね。カフェインは有名な上に変化を自覚しやすいんで、そのぶんだけプラシーボが効きやすいのかもですな。
というわけで、このデータを現実に活かすならば、「カフェインはパフォーマンスアップに効くぜ!」とか「この新しいシューズは高機能だ!」と自分に言い聞かせながら使ってみると、そこそこ運動がしやすくなるかもですねー。