今週の小ネタ:内向的な人のリーダーシップ、ナンパに弱くなるタイミング、男と女の記憶力
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
内向的な人がリーダーシップを発揮するには?
これはクイーンズランド大学の研究(R)で、184人の学生を対象に「内向的な人はリーダーになるチャンスを逃してるぞ!」って主張を展開しておられます。
ざっくりどんな実験だったかと言いますと、
- みんなに内向性と外向性を測るテストをやってもらう
- みんなで集団でやるようなタスクをこなしてもらう(「もし月面に放り出されたらどうやって生き残る?」ってテーマをみんなで議論してもらったらしい)
- 集団で行うタスクについて、「議論の前にどう思ったか?」と「議論を終えてどう思ったか?」の2つを尋ねる
みたいになってます。すると、全体的に以下のような傾向が見られたんだそうな。
- 内向的な人は、外交的な人よりもリーダシップを発揮できていなかった(これは予想どおり)
- が、内向的な人は事前に「グループ作業は嫌だな‥‥」と予想する傾向が強く、この傾向を調整すると、内向的な人でも十分にリーダーシップを発揮していた
ややわかりにくいかもですが、簡単にまとめますと、
- 実際には、内向的な人でも十分リーダーシップを発揮することはできる
- しかし、内向的な人はグループ作業にネガティブな予想をしがちであり、そのせいで持ち前のリーダーシップ能力が妨げられている
ってことです。本来は内向人間でも集団を導く力はあるんだけど、事前の予期不安がジャマをしてるせいでうまく能力を発揮できてないんだってことです。うわー、これは共感できる。
ということで私と同じ内向人間の方は、集団作業が必要な場面では意識して予期不安の改善に力を入れておくといいかもしれません。
人間がナンパに弱くなるタイミングとは?
こちらはモンマス大学の実験(R)で、「こんな時に人はナンパに弱くなる!」みたいな内容になってます。実験デザインを簡単に説明すると、まずは99人の男女を集めて短いエッセイを書くように指示したんですが、その際に全体を2つのグループに分けてます。
- 自由にエッセイを書く
- 「e」から始まる単語を使わずにエッセイを書く
「e」から始まる単語を使えないってのはかなりの難事でして、この縛りでエッセイを書いたグループは、当然ながら脳が消耗しまくるわけです。
その後、被験者たちに美男美女の写真を被験者に見せて、「この人からナンパされたらついていきますか?」と尋ねてみたところ、
- 縛り付きでエッセイを書いたグループは、普通にエッセイを書いたグループに比べて30%も多く「イエス」と解答した!
って違いが出たんだそうな。研究チームいわく、
難しい条件でエッセイを書いたグループは脳を酷使したため、それ以上は考えるのがめんどうになってしまったのだと考えられる。つまり、異性をデートに誘うときは、大変な作業を終えたときや試験の後などにすると良いのかもしれない。
とのこと。これもなんだかわかる話ですなぁ。
男と女はどっちの方が記憶力がいいの?
まずはカロリンスカ研究所の調査(R)で、「男と女はどっちの方が記憶力がいいの?」って問題を調べたメタ分析になっております。具体的には、1973年〜2013年にかけて出版された「記憶力」に関する論文から617件をまとめたもので、約120万人のデータを処理したそうな。
で、その結果について研究チームはこう言っておられます。
一般的に、女性のほうが男性よりも言語的な情報を思い出すのがうまい。たとえば、言葉、文章、特定のフレーズなどだ。と同時に、物体の位置や映画の内容を思い出すのも男性より上手だ。また、匂いなどの感覚的な情報を覚えておく能力も高い。
逆に男性は抽象的なイメージの記憶に長けており、道順などを覚えるのがうまい。
ってことで全体的に見れば、
- 女性は言語的な記憶力が発達している
- 男性は空間的な記憶力が発達している
って違いがあるっぽい。果たしてこの違いが生涯にわたって同じなのかは不明なんですが、結構な性差があるもんなんですねぇ。