運動で痛めた関節にコラーゲンが効くのかもしれないぞ!という研究の話
「コラーゲンは体内でアミノ酸に分解されるから意味ない!」とはよく聞く話です。いくらコラーゲンを食べてもアミノ酸になっちゃう以上は、普通に肉を食べるのと何ら違いはないはずだって考え方ですね。
これはまことにお説ごもっともな話なんですが、一方で近ごろは「運動好きの関節を守るためには効くんじゃない?」みたいな話も出てきてたりするんですよ。
というのも、重いウェイトを持ち上げたりジャンプ系の運動をくりかえすと、関節の結合組織へのダメージを回復させるためにより多くのコラーゲン合成が必要になるんですね。が、ここでコラーゲンの合成に必要なアミノ酸(プロリンとかリジンとか)を補給しておけば、その分だけ運動の関節ダメージも減るのでは?と考えるのはわりと自然なことなんですな。
ということで、本当に「関節保護のためにコラーゲンは効くのか?」問題を調べた研究(R)が出てました。
これは10人の男性(運動歴はそこそこ)を集めた研究で、年齢は平均22歳ぐらいの健康な若者だけを対象にしております。実験では、参加者に以下の4つのサプリのどれかを飲むように指示したみたい。
- プラセボグループ=マルトデキストリン15g+ビタミンC48mg+水250mL
- ゼラチングループ=ゼラチン15g+ビタミンC48mg+水250mL
- 加水分解コラーゲングループ=加水分解コラーゲン15g+ビタミンC48mg+水250mL
- コラーゲングミグループ=ゼラチン7.5 g+加水分解コラーゲン7.5 g+ビタミンC48mg (固形グミとして調製)
で、サプリメント飲んでから1時間後に全員に6分間のなわとび運動をお願いして、コラーゲンの合成がアップしたかを調べたみたい。ちなみに、この実験では全員に4パターン全てのサプリを飲んでもらったので、合わせて4回ラボ実験が行われたことになります。また、ここでビタミンCを組み合わせてるのは、先行研究によりゼラチン+ビタミンCでコラーゲンの合成が高まることが分かってるからです。
でもって、その結果がどうだったと言いますと、
- 全グループのなかでコラーゲン合成のレベルに違いは見られなかった
- いちおうプラセボ以外の全グループに、血中のグリシン、リジン、プロリンなどの増加が見られた
みたいになってます。うーん、どうにもパッとしない結論っすねー。
ただ、これでまだコラーゲンは無意味!と決まったわけではなくて、意外と近年では有効性を報告してるレポートも多かったりします。
- 24週間にわたるRCT(R)では、大学生アスリートに10gの加水分解コラーゲンを飲んでもらったら、関節痛に有意な改善が認められた
- 関節炎患者にコラーゲン補給を行ったところ、軟骨の厚さを増加したという報告(R)もある。ただし、関節炎じゃない人にも意味があるかは不明
- 普段からよく体を動かしてる男性に、筋トレしつつコラーゲンペプチドを24週間補給してもらったら除脂肪体重が増加した(筋肉量は増えてないので、結合組織が増えたのだろうと思われる)(R)
といったあたりを見ても、まだまだ可能性はあるかなーとも思うわけです。今回の研究との食い違いが起きた理由は謎ですけど、データを見てるとバラツキがやたらと大きいんで、信頼性がちょい厳しいかなーとも思っております。
ってことでまだ謎が多いジャンルではありますけど、いちおう予備的な証拠はあるんで、もし関節の問題にお悩みの場合は、
- ビタミンC約50mgと+5〜15g/日のコラーゲンを24週間ぐらい続けてみる
ってのはアリかもしれません。