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なぜ音楽は運動のパフォーマンスを上げるのか?そして、どんな音楽を選ぶのがいいのか?のメタ分析

 

エクササイズに音楽が効く!ってのは誰しも直感的にわかってる話で、私もHIITのような辛い運動をするときは音楽の力に頼っております。

 

 

ただ、みんな「エクササイズには音楽だ!」とは思ってるものの、具体的に「なんで音楽が効くの?」ってとこについては意外とわかってなかったりします。なぜ音楽でエクササイズが楽になるのか?ってメカニズムの問題っすね。この点がハッキリすれば、より効率よく音楽の力を生かせるはずなのは自明でしょう。

 

 

ってことで「運動と音楽」研究の第一人者であるコスタス・カラゲオギス博士が、過去の文献をまとめたメタアナリティックレビューを出してくれておりました(R)。

 

具体的には、1911年から2017年の間に発表された先行研究から精度が高めな139件をピックアップ。音楽のパワーとはどのようなものなのかをチェックしてくれたんですよ。

 

 

でもって、最終的には音楽から得られるメリットを、4つのカテゴリーにまとめてくれております。

 

 

  • ポジティブな感情を高める(g = 0.48):自分で作ったプレイリストを聞くと、人間はポジティブな感情と幸せな思い出が呼び起こされて、一種の解離状態になる(現実から切り離された感じ。そのためエクササイズが楽になる)

 

  • 身体能力を向上させる(g = 0.31):テンポの速い音楽は体の動きとシンクロするため、身体パフォーマンスが高まる。そのため、反復的でリズミカルな有酸素運動には特に良い。

 

  • 運動負荷の知覚を減らす(g = 0.22):音楽はフロー状態を生み出す傾向があり、そのせいでない的なモチベーションが促進され、キツめの運動を簡単なように思わせてくれる。

 

  • 酸素利用が最適化される(g = 0.15):音楽は血流を増加させる働きがあるため、おかげで生理学的効率が改善され、必要な酸素摂取量を減らすことができる(つまり、燃費のいい状態を作り出してくれる)

 

音楽がメンタルへ与える影響は誰でも実感できてるでしょうが、実際に身体能力や酸素の利用効率も上げてくれてるってのはちょっとおもしろいとこっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

 

エクササイズ中の音楽がポジティブな気分をうながす点について、驚く人はいないだろう。しかし、音楽が実際に身体パフォーマンスを大きく向上させるという事実はやや驚きだろう。

 

一般的に、テンポが速い音楽は、遅い音楽よりも大きなメリットをもたらす。そして、音楽と同じペースでトレーニングをすることで、さらにメリットは大きくなる。

 

とのこと。だいたいBPMが120以上の曲を使いつつ、意識してそのペースに体の動きを合わせていくことで、エクササイズの効率はだいぶブーストされるんだそうな。非常に納得できる話っすね。

 

 

ってことで、エクササイズにふさわしい音楽を選ぶ際は、

 

  • 自分が過去に味わった「ポジティブな体験」とつながりがある曲を選ぶ(好きな映画音楽とかでも良い)
  • 動きをシンクロさせやすい曲を選ぶ(転調がなくて、音ハメしやすいポイントが多いようなやつ)
  • とにかくアップテンポな曲を選ぶ(BMPの上限はよくわからんですが、HIITみたいに激しい運動をするならBPM200ぐらいの曲を選んでもいいかも)
  • いったん曲を選んだら、その曲がもたらすポジティブな感情と運動が脳内で結びつくまで繰り返す(運動と音楽が自然に結びつくまで何度も聞く)

 

といった感じになりましょう。どうぞよしなに。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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