エクササイズに最適な音楽ってなに?の科学
エクササイズに最適な音楽について調べてたら出てきた論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはブルネル大学のコスタス・カラゲオギス博士によるレビュー論文で、音楽と運動に関する研究の第一人者らしい。うーん、知らなんだ。
で、勉強になったのは以下のような話。
1.音楽の効果は思ったより凄い
感覚的に音楽のメリットは理解してましたが、研究例を見ると思ったより凄いんですな。たとえば、
- 音楽に合わせて自転車をこぐと、音楽を聞かないときにくらべて酸素の消費量が7%も減り、主観的には10%ほど運動がラクに感じられる(2009年,2)
- 音楽を聞きながらランニングをすると、音楽を聞かないときにくらべて15%もタイムが向上する(2010年,3)
- 心臓病の患者さんに専門家が作ったプレイリストをわたしたら、エクササイズを続ける確率が70%も上がった(2015年,4)
ってことで、音楽は運動のモチベーションアップにもパフォーマンスアップにも効くみたい。エクササイズの持続率が70%アップってのはいい数値ですねー。
2.最適なBPMは120〜145ぐらい
運動に対する音楽のメリットを左右するのが「BPM」。ヒトの体は一定のリズムに自動的にシンクロする傾向があるんで、BPMの大きさによってエクササイズの効率も変わってくるわけっすね。
もちろん運動の種類によって最適なリズムは変わるので、「最強のBPMはどれ?」ってのを決めるのは難しいところ。ただ、多くの研究では「人間が好むベストのBPMは120!」ってて、まずはここが基準値になりそうではあります。
なんでも、たいていの人は、足踏みや拍手をすると、だいたい120BPMのペースに落ち着いていくんだとか。これぐらいが人間にとってナチュラルなリズムらしいんですな。
で、ここから少しずつテンポを上げていくと、同時にエクササイズのリズムも上がっていく感じ。ただしその効果には上限があって、およそ145BPMぐらいで打ち止めになるみたい。
参考までに書いとくと、Madnesseの「Our House」が120で、Bruno Marsの「Marry you」が145ぐらい。jog.fmに行けばBPMで曲を検索できますんで、ここらへんで感覚をつかむといいかも。
3.ランニングにはポップソング、筋トレにはダンスミュージック
当然、エクササイズの種類によっても最適な音楽は違ってくるんですが、第一にロックは途中でテンポが変わるケースが多いので全体的に不向きとのこと。確かに運動中にキング・クリムゾンとか聞いたらエラいことになりそうですな。
いっぽうで博士のオススメは、
- ポップミュージック=テンポが一定なので、ウォームアップかクールダウン、ランニングなどに向いている
- ダンスミュージック=筋トレ向き。曲が速くてベース音がデカいので、筋トレのツラさから意識が外れやすい
とのこと。筋トレについては、リズムよりも音楽の力で気をそらすのが大事みたいっすね。
4.ランニングにはポップソング、筋トレにはダンスミュージック
さらに博士は、Spotifyの協力を得て670万曲のプレイリストを分析して、どんなエクササイズにも(それなりに)適用できる理想のプレイリストを作成しておられます。もちろん、上述のとおり最適な曲は個人によって変わりますんで、あくまで最大公約数のプレイリストはこんな感じだよー、ぐらいのイメージ。
で、博士が選んだ上位20曲は以下のようになっております。これをたたき台に、自分にとってベストなプレイリストを探っていくのも楽しそうですな。