難しい問題を解決する力が3倍に高まる心理テクとは?
「問題解決力が3倍に上がる心理テク!」みたいな論文(1)がおもしろかったんでメモ。1986年のデータなんですが、いまも十分使える内容かと思われます。
4枚カードをやってもらったら…
これはレーン大学の実験で、学生の参加者たちに「4 枚カード課題」をやってもらったんですね。これは古典的な論理クイズで、まずは以下のようなカードを見せます。
そのうえで、以下のような質問をするんですな。
すべてのカードは片面に数字が、もう片面には色がついています。「片面の数字が偶数のとき、裏面の色は赤である」という規則が守られているかを確認するには、どのカードをひっくり返せばよいでしょう?
ここで「わかんねー」と思うのが一般的な反応で、たいていの人は正解できないんですよ。この問題の場合、正解は「8と茶色をめくる」なんですが、つい「8と赤をめくる」と答えちゃう人が大多数なんですな。それだけ人間は、条件文を規則とした推論が不得意なわけです(私も超ニガテ)。
声に出しながら難しい問題を解く
で、実験では、この問題を解く際に参加者を半分にわけまして、
- 何もせず普通に問題を解く
- 自分の推論を声に出しながら解く
という2つのパターンで効果を比べたんですね。「声に出しながら解く」ってのは、「えーと、ここで3をめくって赤が出たら規則を破ってないから…」や「赤が偶数だと規則を破ってるし…」といった感じで、頭のなかの思考プロセスを口にしながらやる方法であります。
すると、結果は「声に出したグループ」の圧勝。頭のなかだけで解いたグループにくらべて、正解を叩き出す確率が3倍にはねあがったんだそうな。これは凄い差ですねー。
声に出すとメタ認知が起動しやすい
ここまでの差が出た理由は、超ざっくり言うとメタ認知に効いてるからです。当ブログではおなじみの「思考に関する思考」のことですね。要するに、
- 自分の思考を口に出す
- 「自分はいまこんなことを考えているのか」と気づく
- その自覚によって思考の足場ができる
- 足場をステップにして推論がスムーズに進む
みたいな流れです。メタ認知が読書や学習の効率をあげるって話は多いんですけど、声に出すことでさらに効果が高まるかもしんないわけですな。
ってことで、何か難しい問題にぶち当たったときは、自分の思考を声に出してチェックしてみると吉。その際は、「メタ認知を鍛える50の質問」を参考にしてみると、よりはかどるかと思います。お試しあれー。