今週半ばの小ネタ:早歩きで脳機能アップ、有酸素運動で脳がビッグに、猫、実は犬より愛情が深い説
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
早歩きでコーヒーと同じぐらい脳機能が上がる
「早歩きでワーキングメモリが上がる!」というナイスなデータ(R)が出ておりました。
これは59人が参加した研究で、その半数はカフェインを常用している人を選んだそうな。実験ではすべての参加者にワーキングメモリのテストを行ったんですが、その際に、3つの条件を設定しております。
- 軽い早歩きを20分した後でテスト
- コーヒー1杯と同じくらいのカフェインを飲んでからテスト
- 早歩きをせずカフェインもとらずにテスト
すると、結果は以下のような感じだったんですよ。
- 運動とカフェインの両グループは、どちらも同じぐらいテストの成績が約20%向上した
- 普段からカフェインをよく飲んでいる人ほど、運動で得られるメリットは大きい
ってことで、20分の早歩きはコーヒー1杯と同じ働きをするかもしれないわけっすね。というかカフェインに慣れちゃってる人はコーヒーも効きにくいんで、その場合は運動一択ってことになりましょうな。
有酸素運動をすると脳がデカくなる?
その昔、心肺機能が高い人ほどIQも高い!みたいな話を書きましたが、新たに「有酸素運動をする人は脳がデカい!」って観察研究(R)が出ておりました。
これはドイツ神経変性疾患センターが5年をかけて行った観察研究で、2,013人の男女(21歳〜84歳)に対して、以下のポイントをチェックしております。
- 最高酸素摂取量(心肺機能の高さの目安になる。エアロバイクをこいでもらって測定したらしい)
- 脳の灰白質の変化(MRIでモニタリングしたらしい)
これで何がわかったかといいますと、
- 最高酸素摂取量が増加すると、大脳の灰白質と小脳のサイズがデカくなる傾向があった
- 当然ながら、大脳と小脳がデカい人は、認知機能も低下しにくかった
だそうです。まぁ「運動が脳にいい」ってデータはさんざん紹介してるんで「やっぱりなー」ぐらいの感想ではありますが、あらためて認知への影響が確認された感じですね。
もちろん観察研究なんで因果関係はわからんですけど、そもそもエクササイズが脳に良いかどうかを長期的に介入するテストって現実的にかなり難しいでしょうから、今後も観察を積み上げていくしかないだろうなー、といったところです。
猫、実は犬より愛情が深い説
「猫って実は犬より愛情があるんじゃない?」と思わせる研究(R)が出ておりました。
これはオレゴン州立大学などの研究で、子猫79匹と成猫38匹を集めて、愛情診断をしたんだそうな。具体的にどんな感じかと言いますと、
- 特定の部屋に猫と飼い主を入れる
- 飼い主だけがその部屋を出て行ったり戻ってきたりする
- 飼い主の行動に対して猫がどんな行動を取るかをみる
みたいな感じです。たとえば、飼い主がいなくなったら猫が不安そうにドアを見つめたり、逆に戻ってきた飼い主のところに寄り添って行くなどの行動を見せれば、その猫は「愛情がある!」と判断されるわけっすね。
で、どんな結果だったかというと、
- 全猫の64.3%が愛情行動を示し、残りの35.7%は不安型の愛情行動(ストレスで逆に飼い主を避ける行動を取る)を示した
だったそうな。この数字は、過去に犬で行われた類似の実験よりちょい上だったそうで、研究者は「猫が飼い主に向ける愛情はかなり強い」とコメントしておられます。猫を飼ってる人なら納得の結果じゃないでしょうか。