うまく頼みごとができない!助けを求めたらいつも嫌な顔をされる!という人にありがちな心理的な罠
ソーシャルサポート大事!ってのは、このブログでも良く紹介している話です。友だちでも親でも同僚でもなんでもいいんだけど、とりあえず「困ったら誰かが助けてくれる感」がないと、わりと人生がひん曲がった方向に向かいがちなんすよ。たとえば、
みたいな報告が過去にも出てますんで、ここは意識しとかんとなーとか思うわけです。
ただ、ここで問題なのが、「世の中には他人に頼みごとをするのが異様にヘタな人がいる」ってポイントであります。たいていの人は思ったよりもこちらの願いを引き受けてくれるものなんですが、「こんな頼み事をしたら気分を悪くされちゃうかなー」とか思ってどうしても切り出せない、みたいな。
実にありがちな話ですが、この問題について調べたデータ(R)が出てまして勉強になりました。
これは176人の男女カップルを対象にしたテストで、みんなをラボに呼んで、こんな実験をしてます。
- 参加者のパートナー同士で、個人的な目標を7分ほど語り合ってもらう(年収あげたいとか資格が欲しいとか)
- その目標を達成するにあたり、みんながパートナーにどんな頼みごとをしたかをチェック
- その頼みごとに対してパートナーがどう反応したかをチェック
って感じで「頼み方がヘタな人はなにが違うのか?」ってところを調べてみたわけですね。
その結果、なにがわかったかといいますと、
- 自尊心が低い人ほど「間接的な支援」を求める傾向があり、「間接的な支援」を使うほどパートナーは否定的に反応した
だったそうです。「間接的な支援」ってのは、「これをお願いします!」と直に頼むんじゃなくて、ため息をついてみたり、ちょっと悲しげな表情を浮かべてみたり、なんとなく愚痴をこぼしてみたりと、「なんだか助けて欲しそうな雰囲気」を醸しだして、相手のサポートを引き出そうとする方法のことです。なんともイラッとくる感じでしが、実によく見かけますよね。
つまり、「頼みごとが下手な人は自尊心が低いのだ!」ってのがこの論文のポイントなわけですが、なんでこんなことになるのかと言いますと、
- 他の人に助けを求める行為には、必ず拒絶されるリスクがふくまれる
- 自尊心が低い人は社会から拒絶されることを恐れるため、頼みごとへの恐怖心が増す
- その結果、自尊心が低い人は、リスクから自分を守るために間接的な支援を使う!
みたいな流れです。頼みごとがヘタな人ってのは、その背後に恐怖心を隠してるわけですね。そのせいで逆に相手への印象を悪くしちゃうんだから、なんだか切ないですなぁ。
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 頼まれる側は、もし相手が「間接的な支援」を行ってきても、「ああ、この人は恐怖感にとらわれているのだな……」と考えて、なるべく優しくしてあげる
- 頼む側は、自分が「間接的な支援」を行っていないかをモニタリングし、「これは恐怖からくる現象だから、できるだけ直接的に頼むぞ!」と意識する
みたいな教訓が引き出せましょう。とか言いながら、私も頼みごとがヘタ過ぎてつい自分で全てやろうとしちゃうタイプなんで、気をつけないと……。