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コミュニケーションが上手くなりたきゃ、とりあえず「スマイル・ノッド・カップリング」だ!という実験の話

 

コミュ上手になりたきゃスマイル・ノッド・カップリングだ!」ってな面白いデータ(R)がありましたんでメモ。

 

 

これは香港で行われた調査で、259人の男女を対象にしたもの。研究を行うにあたりチームは本職の俳優を雇い、1週間かけていろんな表情のトレーニングをしております。たとえば、

 

  • デュシェンヌ・スマイルで笑う
  • 口まわりだけ微笑む偽の笑い(いわゆる「目が笑ってない」ってやつね)
  • 笑うと同時に、いろんなペースと方向で顔を動かす(顔を小刻みに揺らしたり、逆にゆっくりうなずいたりとか)

 

みたいな感じですね。デュシェンヌ・スマイルってのは「本物の笑顔」のことで、口角が上がって歯が見えるだけでなく、ほほを持ち上げるための筋肉を使うせいで目の周りに「笑いじわ」ができるような笑顔を意味してます。トム・クルーズなんかは、人前に出るとずっとこの笑顔をキープしていて「プロすげえ!」とか思うわけですが。

 

 

で、実験では俳優たちに顧客サービスの従業員の役割をあてがって、参加者の男女に対していろんな表情で接するように指示。その様子はすべて動画で撮影されて、「どの表情とボディランゲージを使うと一番現場の雰囲気が良くなるのか?」ってとこを後から分析したんだそうな。

 

 

その結果、何がわかったのかと言いますと、

 

  • こちらが笑顔だと相手もポジティブになる(そりゃ当たり前ですな)
  • ニセの笑顔は相手にすぐに見抜かれてしまい、ポジティブな感情を引き起こさない
  • デュシェンヌ・スマイル+うなずきの組み合わせは、最高にポジティブな感情を引き起こす

 

だったそうです。笑顔で接客されれば誰でも気分が良くなるもんですけど、ここに「うなずき」を加えることで効果がめちゃくちゃブーストするんだ、と。

 

 

研究チームいわく、

 

「デュシェンヌ・スマイルとうなずきの相互作用は驚くべきことではないだろう。西洋における研究でも、笑顔とうなずきは他人指向の表れとしてとらえ得る複合的な要素だと考えられてきた。他人志向とは、コミュニケーションののなかで相手への関心や興味、および注意を示す能力を意味している。

 

 

とのこと。笑顔だけでも悪くないものの、「うなずき」ってのは「あなたに関心がありますよー」って態度を示す最良の方法なんだってことっすね。そういえば、ちょっと前のデータでも「首をタテに振るCGキャラを見るだけでも人間は好意を持つ!」なんて話も出てましたし、「うなずき」はかなりヒューマン・ユニバーサルな現象なのかもですな。

 

 

このうなずきとほほえみの組み合わせのことを、研究者たちは「スマイル・ノッド・カップリング」と呼んでおります。直訳すれば「笑顔うなずき結合」ですが、英語のほうが必殺技っぽくて良いので訳語は使わない方向で(笑)

 

 

というわけで、 「相手から好かれたい!」や「その場の空気を良くしたい!」と思うなら「スマイル・ノッド・カップリング」を心がけたほうが良さげなわけですが、ここでの注意点としては、

 

 

  • 作り笑い厳禁これは当然ですね。といっても慣れないとデュシェンヌ・スマイルを放つのは難しいんで、思わず微笑んじゃうようなイメージを頭に浮かべると良いかと思われます。私が撮影される場合は、たいていウチの猫が寝てるとこをイメージしてたりしますし。

 

  • 速いうなずきも厳禁:コミュニケーションが苦手な人って、無意識のうちにスピーディに首をタテに振るケースが多いんですけど、これは逆に神経質な空気感が生まれちゃうんでご注意ください。この研究でも、役者さんたちは「ゆっくり首を振ってねー」と指示されてますんで。

 

ってのがありますんで心にお留めおきいただければ幸いです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。