DASH食はやっぱ血圧の改善には優秀だぞ!というメタ分析のお話
「DASHはやはり高血圧に効く!」ってメタ分析(R)が出ておりました。
DASHってのは「高血圧を止めるための食事によるアプローチ(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」の略称でして、1997年に生まれてからずっと血圧のコントロールに定評がある食事法です。日本人の死因の2位は心疾患ですから、これは気になるとこじゃないでしょうか。
といっても、なにか変わったものを食べるわけではなくて、だいたい以下のような食事を目指していく感じです。
- 全粒粉1日6〜8サービング(1サービングは、全粒粉パン1スライス、全粒粉シリアル約30g、全粒粉パスタ65gぐらい)
- 野菜1日4〜5サービング(1サービングは、小鉢1つに調理ずみの野菜が収まるぐらい、生野菜の場合は中皿に収まるぐらい)
- フルーツ1日4〜5サービング(1サービングは、中サイズのリンゴ1つ、ブルーベリー70〜75gぐらい)
- 低脂肪の乳製品1日2〜3サービング(1サービングは、牛乳250ml、チーズ40〜45gぐらい)
- ナッツ・豆類1日4〜5サービング(1サービングは、ナッツ35g、種子類小さじ2杯、豆類75gぐらい)
- 脂肪が少ない肉・魚類1日6サービング以下(1サービングは、肉・野菜30g、タマゴ1個)
- お菓子類1日5サービング以下(1サービングは、砂糖小さじ1杯、ジャム小さじ1杯ぐらい。もちろん、あえて食べる必要はない)
- 脂質1日2〜3サービング(1サービングは、オイル小さじ1杯、ドレッシング小さじ2杯ぐらい)
- 塩は1日あたり2,300mg以下。1,500mg以下が理想
ご覧のとおり、「できるだけ塩を減らしつつ、野菜と果物で食物繊維をたくさんとろう!」という非常に穏当な内容になってます。いかにも健康に良さそうっすよね(個人的には「低脂肪乳をそこまで推す必要があるんだろうか?」とも思いますが)。
ということで今回の研究では、DASHに関する30のRCTから5,545人分のデータをまとめて、普通の食事と比べて最高血圧と最低血圧にどんな影響があるのかを調べております。
全体的なバイアスのリスクは低めで、2件だけ低品質と評価されてる感じ。参加者の年齢は平均51歳で、BMIは29.3。平均の血圧は143.3/84.9だったとのこと。
で、全体的な実験の期間は平均15.3週間でして、DASH食にはどんな効果があったのかと言いますと、
- 普通の食事と比べて、DASH食を続けた人は最高血圧が平均-3.2mmHgの差があった(95%信頼区間は-4.2~-2.3mmHg)
- 最低血圧は平均-2.5mmHgの差があった(95%信頼区間は-3.5~-1.5mmHg)
- 質が高い研究だけに絞っても、有意な変化はなかった
- 高血圧でない人がDASH食をした場合にも、高血圧の人と同じぐらい血圧が改善していた
- なかでもDASH食の効果が高かったのは、「1日のナトリウム摂取量が最大でも2400mgの人」「50歳以下の人」「高血圧の薬を使ってない人」だった
みたいになります。大方の予想どおり、やはりDASH食には十分な意味があるみたいっすねー。
個人的に今回の結果でおもしろかったのは、
- 高血圧の人でなくてともDASH食には意味がある
- ナトリウム摂取量が1日2,400ミリグラムを超えている場合でも、DASH食は血圧を低下させる
- データを見てると、「塩分が多い食事から塩分が多いDASH食に切り替えた場合」と「塩分が少ない食事から塩分が少ないDASH食に切り替えた場合」を比べた場合、「高塩分食→高塩分DASH食」の方が血圧の低下が大きい(これは謎)
といったとこでしょうか。全体的にはDASH食で最高血圧が約3mmHg、最低血圧が約2mmHgずつ改善してまして、これは心疾患イベントの相対リスクが約9%ほど低下するレベルの効果なんだそうな。数字だけ見ると大したことがなさそうだけど、臨床的にはちゃんと意味がある感じじゃないでしょうか。